2010 Fiscal Year Annual Research Report
雄ゲノムでメチル化されるインプリント遺伝子による個体発生および腫瘍形成機構の究明
Project/Area Number |
10J06577
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
高橋 望 東京農業大学, 応用生物科学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Gt12 / ゲノムインプリンティング / non-coding RNA / 低分子RNA / 遺伝子発現 / 腫瘍 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
DlKl-Dio3ドメインにおける非コード遺伝子群の異常は、Dlkl-Dio3ドメインの異常に起因する疾病だけでなく、三大成人病の1つとして挙げられる癌と密接に関連する可能性が高い。よって、これら非コード遺伝子群の機能解析を行い、作用機構が解明されることによって、さまざまな疾病の新たな原因解明や、治療法の開発に繋がると考えられる。Dlkl-Dio3ドメインの非コード遺伝子群が発現低下を示すGt12母方欠損マウスを用いて、2つの腫瘍形成実験を行った。Gt12母方欠損由来の繊維芽細胞は、野生型の繊維芽細胞に比べて、老化しにくく増殖率が高い傾向にあった。また、胎齢6.5日のGt12母方欠損胚および野生型胚を免疫不全マウスの腎被膜下へ移植し、腫瘍サイズを比較すると、Gt12母方欠損胚由来の腫瘍は野生型に比べて大きく、個体間でばらつく傾向にあった。よって、Gt12を含めた非コード遺伝子群は腫瘍抑制遺伝子として機能し、腫瘍サイズの増大に関与する可能性が示唆された。続いて、Dlkl-Dio3ドメインの非コード遺伝子群の発現異常と致死性との関連性を探るため、BAC(人工細菌染色体)を用いて、非コード遺伝子群の過剰発現マウスの作製を試みた。現在までに3匹のトランスジェニックマウスが得られ、解析を進めている。非コード遺伝子群の過剰発現マウスの解析により、非コード遺伝子群の新たな役割が解明されることを期待される。
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