2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜受容体輸送および細胞分裂におけるカルシウム結合蛋白質ALG-2の生理機能解析
Project/Area Number |
10J06598
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 真弓 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ALG-2 / カルシウム / ESCRT / IST1 / CHMP1 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
まず、ALG-2の生理機能探索の手掛かりを得るため、ヒト線維芽細胞種HT1080細胞においてRNA干渉法によるALG-2発現抑制を行ったところ、一部の細胞で多核化や核の断片化が観察された。このことから、ALG-2は細胞分裂において機能することが示唆された。次に、ALG-2は細胞分裂においてESCRT蛋白質と協調して機能すると考え、新たなALG-2相互作用因子を探索するため、酵母ツーハイブリット法によりESCRT蛋白質とALG-2の相互作用解析を行った。これにより、新たに細胞質分裂に関与するESCRT関連因子であるIST1がALG-2相互作用因子であることが示唆された。そこで、HEK293T細胞にタグ付加IST1を発現させプルダウン実験を行ったところ、ALG-2がカルシウム依存的にプルダウンされた。またIST1とALG-2の相互作用には、IST1のMet-Pro繰り返し配列が重要であることが判明した。さらにESCRT-III蛋白質CHMP1を共発現させると、IST1とALG-2の相互作用が促進された。以上のことから、IST1はALG-2とカルシウム依存的に相互作用すること、さらにこの相互作用はCHMP1により安定化されることが示唆された。以上のことから、ALG-2はIST1やCHMP1とともに細胞分裂において重要な機能を担うと考えられる。ALG-2の発現を抑制すると細胞分裂に異常をもたらすことはすでに報告されていたが、そのメカニズムは不明であった。本研究によって、ALG-2はESCRTシステムを通して細胞質分裂に関与していることが示唆され、オリジナリティの高い研究成果と評価される。
|