2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜受容体輸送および細胞分裂におけるカルシウム結合蛋白質ALG-2の生理機能解析
Project/Area Number |
10J06598
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 真弓 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ALG-2 / ESCRT-I / ALIX / カルシウム / 細胞分裂 |
Research Abstract |
これまでに、動物細胞を用いた相互作用解析においてAlixとTSG101の結合がカルシウム存在下で強くなることから、ALG-2がAlixおよびTSG101と複合体を形成することで、ESCRT-IとAlixを繋いでいることが示唆された(図2)。 AlixおよびALG-2と複合体を形成しているTSG101がESCRT-I複合体を形成しているかは明らかになっておらず、またESCRT-I構成因子のアイソフォームにはPRRを持つものが多くある(図3)。そこで、まずESCRT-I構成因子のALG-2結合能を評価した。ビオチン標識ALG-2をプローブとして用いたオーバーレイ法により、VPS37BおよびVPS37Cの方がTSG101よりALG-2結合能が強いことが明らかとなった。次にVPS37A,B,C,Dをそれぞれ含むESCRT-I複合体とALG-2の相互作用解析を行ったところ、VPS37BおよびVPS37Cを含むESCRT-IとALG-2との強い相互作用が検出され、この相互作用はカルシウム依存的であった。また、AlixとESCRT-Iの複合体形成においても、同様の結果となった。これらの結果から、AlixとESCRT-Iの複合体形成はALG-2に依存しており、VPS37のALG-2結合能が重要であることが明らかとなった(図4)。 AlixおよびTSG101が細胞分裂において重要な機能を果たすことが知られており、ALG-2も細胞分裂において生理機能を担うと考えられる。細胞分裂におけるALG-2の生理機能を明らかにするため、HT1080細胞でRNA干渉法によるALG-2発現抑制を行い、細胞の異常を定量的に解析した。ALG-2の細胞分裂における寄与を明らかに示す結果は得られなかったが、細胞種の検討などさらなる解析を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ALG-2発現抑制による細胞分裂の異常を評価する手法を検討中であるため。細胞種、siRNAのターゲット配列、観察方法など検討項目が多く、実験・観察に時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞分裂異常が観察しやすいよう、正常細胞由来細胞株を用いてALG-2発現抑制による影響を観察する。また、エンドサイトーシスなど細胞分裂以外の細胞内生理機能についてもALG-2発現抑制による異常が生じているか観察する。
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