2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン構造に伴うBerry位相と新奇な電気伝導現象の理論研究
Project/Area Number |
10J06603
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田口 勝久 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆ファラデー効果 / 光誘起磁化 |
Research Abstract |
近年、非一様なスピン構造をもつ試料でスピンによる新たな電気伝導機構を探る研究が行われている。その構造下には、Berry位相(スピンBerry位相)というも存在し、この位相は電子に対して磁場の役割を担う。そのため磁場を印可せずとも電子の軌道を曲げるホール効果や、光の偏光を回転されるファラデー効果が生じる。スピンBerry位相は、スピントロニクスや磁気光学効果などの他分野の研究とも関連があるため関心を集めている。本研究では、この位相による新奇な物理現象を理論的に探索し、電気伝導に与える影響を解析的に明らかにすることを目指す。具体的には量子多体論に基づきスピン構造下におけるハミルトニアンならびにケルディッシュ・グリーン関数を用いて、解析的にスピン、電流、スピン流等の計算を行い、その結果を基にメカニズムを考察する。新奇な物理現象としてまず目をつけたのは、近年注目されている円偏光による磁化誘起現象(逆ファラデー効果)である。研究計画の1年目は、逆ファラデー効果とBerry位相の影響を見るために、従来の光誘起磁化の現象を理解することに努めた。従来の研究によれば、スピン軌道相互作用もしくはプラズマ振動によって逆ファラデー効果の存在が可視光領域で報告されている。我々は、スピンのダイナミクスならびに共鳴周波数が可視光領域よりも小さいTHz帯であることをにらんで、THz領域で逆ファラデー効果を解析した(THz周波数帯のためプラズマ振動は無視)。その結果、従来同様にスピン軌道相互作用ならびに光の強度に比例した磁化が誘起されることを示した。磁化の強さは光の周波数に比例することが分かった。
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Research Products
(2 results)