2011 Fiscal Year Annual Research Report
スピン構造に伴うBerry位相と新奇な電気伝導現象の理論研究
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10J06603
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田口 勝久 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆ファラデー効果 / 光誘起磁化 / 非平面的な磁化構造 / スピン軌道相互作用 / ケルディッシュグリーン関数 / スピンカイラリティ |
Research Abstract |
[背景]近年、磁気光学現象の1つである、逆ファラデー効果の研究が行われている。最近では、この効果をつかった新奇な磁気光学デバイスも提案されており、応用面でも注目されている。ところで、この逆ファラデー効果とは、光のヘリシティに比例する磁化を生成する効果のことである。(ヘリシティは偏光の向きを表す;右回り円偏光のとき+1、左回り円偏光のとき-1、直線偏光のときの値をとる。)この磁化はスピン軌道相互作用の大きさに比例することが知られていた。 [問題点]これまでの理論によると逆ファラデー効果によって生成される磁化を大きくするためには、スピン軌道相互作用の大きい、プラチナ、白金、金などを使った材料が必要である。しかし、これらの材料は高価である。今後は従来の理論に代わる、スピン軌道相互作用に依存しない新たな理論が必要である。 [目的]スピン軌道相互作用に依存しない、磁化構造による新奇な逆ファラデー効果の理論を微視的に導出する。 [内容]非平面的な磁化構造(スピンカイラリティを持った強磁性体パーマロイ渦磁化構造など)では、スピン軌道相互作用に依存しない、逆ファラデー効果が生じる、ということを微視的に初めて示した。また、この新効果を使った新奇な磁気光学デバイスを設計し、数値解析でそのデバイスの高機能性を評価した。 [特色]これまでの逆ファラデー効果の研究では一様磁化で考察されていたが、非平面的な磁化構造下での逆ファラデー効果の研究はこれまで無く、申請者によって初めて解析された。 [意義と重要性]この理論は従来の常識を覆した理論であり、スピン軌道相互作用に依存しない。また、従来の効果よりも大きい。さらに本研究は、スピントロニクスで行われている電流誘起渦磁気コア反転の研究と、光渦磁気コアを反転できる、という点で関連している。そのため、本研究成果はスピントロニクスに波及する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非常に難解な(強結合領域の)微視的計算を実行し、幾何学的な磁化構造下で新奇な逆ファラデー効果を理論的に提唱するという目標を達成した。また、本研究の新規性を活かし、新奇な磁気光学デバイスを設計するところにまで発展した。
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Strategy for Future Research Activity |
Berry位相と磁気光学効果を融合させた、新奇な電気伝導現象を理論的に提案する方針で研究を推進していく考えである。また、この新奇伝導現象を活用した、斬新な磁気光学デバイスを設計にも力を注ぐ。
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Research Products
(9 results)