2010 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用に向けたiPS細胞由来心筋系列細胞の蛍光化合物による新規純化法の開発
Project/Area Number |
10J06630
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 弘之 京都大学, 再生医科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ES細胞 / iPS細胞 / 分化誘導 / 心筋細胞 / 純化方法 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
多能性幹細胞である胚性幹細胞(ESC)と人工多能性幹細胞(iPS)は、特定の培養条件下で心筋細胞に分化することができ、移植細胞の重要な細胞ソースになる可能性がある。将来的に、心筋・心筋前駆細胞移植療法は、重症心不全患者に対し有効な治療法となる可能性がある。しかしながら、細胞移植治療において、これらの多能性幹細胞からの心筋分化誘導効率は低く、未分化細胞の混入によるテラトーマ形成などの問題があり、臨床応用に適した心筋細胞の分化・純化方法の開発が必要である。 本研究では、ケミカルバイオロジーの手法を用いて、ヒト心筋系列細胞(心筋及び心筋前駆細胞)の細胞膜表面あるいは細胞内分子を特異的に標識する蛍光化合物を同定し、新たな心筋系列細胞同定・純化方法の開発を目標する。 心筋系列細胞を特異的に標識する蛍光化合物を効率的に同定するため、多量の化合物を効率的に解析できるスクリーニング系が必要となる。これまでに当研究室では、マウスES・iPS細胞を用いて効率的に心筋・心筋前駆細胞を選択的に調製できる分化誘導法を確立している。初年度は、マウスiPS細胞由来心筋細胞を特異的に標識する蛍光化合物のスクリーニングの実施予定であったが、より臨床への応用を目指すため、ヒトESC・iPS細胞由来心筋細胞を用いた蛍光化合物のスクリーニング系の確立を試みた。そのため、本年度はLaflamme MAらが2007年に報告したヒトES細胞からの心筋分化誘導法(Laflamme MA, Nat Biotechnol, 2007)の導入を行った。この方法にいくらかの改善を加え、本研究のスクリーニングの実施に十分な量のヒトES・iPS細胞由来心筋細胞の供給が可能となった。次年度は実際に蛍光化合物のスクリーニングを実施する予定である。 このように臨床応用に向けた研究計画が、着実に進展していると考えられる。
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