2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規1分子可視化法によるイオンチャネル分子複合体機能とその調節機構の解明
Project/Area Number |
10J06641
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血管平滑筋 / 全反射蛍光顕微鏡(TIRFM) / パッチクランプ法 / Ca^<2+>マイクロドメイン / カベオリン / Ca^<2+>活性化K^+チャネル(BKチャネル) / 電位依存性Ca^<2+>チャネル |
Research Abstract |
近年、個々の単一チャネル分子に加えて、相互作用し合う輸送分子、機能修飾分子、足場タンパク質などから構成される分子複合体(トランスポートソーム)が生体膜輸送の機能単位であると提唱されている。足場タンパクの一種であるカベオリンは細胞膜表面にカベオラを形成し、イオンチャネルや機能分子を集積させる。そこで本研究では、TIRF顕微鏡による1分子可視化とパッチクランプ法によって、カベオラ内で構成されるトランスポートソームによるカルシウムシグナリング制御機構を解明し、より高度かつ組織特異的なイオンチャネル機能や薬物感受性あるいは病態形成の機序など、新たな知見を見出すことで新規創薬につなげることを目的とした。大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルは複合体を形成した電位依存性Ca^<2+>チャネル(VDCC)から流入したCa^<2+>によって直接活性化されることが神経細胞で報告されているが、平滑筋に関する報告は為されていない。そこで当該年度は、カベオリン1ノックアウトマウス(Cav1-KO)を用いて、平滑筋におけるBK-VDCC複合体の生理的意義とこれに対するカベオラの寄与の解明を目標とした。本研究により、腸間膜動脈平滑筋単離細胞において機能的BK-VDCC複合体が存在し、カベオリン1が複合体形成を促進することが明らかになった。複合体内のBKチャネル活性が活動電位の再分極相の形成に寄与すること、及びCav1-KOではBKチャネル活性が減弱することが示唆された。腸間膜動脈還流標本を作成して脱分極刺激に対する反応性を調べたところ、Cavl-KOではWTに比べてBKチャネル活性が抑制された。以上より、血管平滑筋ではBK-VDCC複合体はカベオラによって正に制御され、細胞膜脱分極時の活動電位の形成とVDCCに対するネガティブフィードバック機構を介して、平滑筋の興奮性制御に寄与すると推測される。
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Research Products
(6 results)