2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規1分子可視化法によるイオンチャネル分子複合体機能とその調節機構の解明
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10J06641
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血管平滑筋 / 全反射蛍光顕微鏡(TIRFM) / パッチクランプ法 / Ca^<2+>マイクロドメイ / カベオリン / Ca^<2+>活性化K^+チャネル(BKチャネル) / 電位依存性Ca^<2+>チャネル |
Research Abstract |
血管平滑筋細胞において、BKチャネルとCav1.2の機能連関とそれに対するカベオリン1の寄与を調べるため、カベオリン1ノックアウトマウス(KO)とパッチクランプ法及びTIRF顕微鏡による1分子イメージング法を用いて実験を行った。パッチクランプ法による機能解析から、腸間膜動脈平滑筋単離細胞においてBKチャネル-Cav1.2複合体はカベオリン1によって正に制御されることが明らかになった。また、BKチャネル及びCav1.2の蛍光タンパク質標識体を作製し、1分子可視化解析を行った結果、KO由来細胞において、(1)BKチャネル-Cav1.2複合体数の減少、(2)FRET効率の減弱、(3)1つの蛍光スポット中のCav1.2の減少が観察された。これらの結果から、カベオリン1は(1)複合体数の増加と(2)複合体内のCav1.2の増加をもたらし、BKチャネル活性を増大させることが示唆された。単離平滑筋細胞を用いて筋収縮力を調べたところ、KO由来細胞において40mMKCl Kreb's溶液による収縮反応が有意に増大していた。しかし、BKチャネル特異的阻害薬である1μMパキシリン存在下では両者の収縮力に有意な差はなかった。筋静止時に1μMパキシリンを投与したところ、KO由来細胞では筋収縮力が有意に減弱していた。これらの結果から、KO由来細胞において筋興奮時及び静止時におけるBKチャネル活性の減弱が示唆された。以上より血管平滑筋細胞において、BKチャネルとCav1.2は複合体を形成し、カベオラによって正に制御されることが明らかとなった。この複合体は(1)細胞膜脱分極時の活動電位の形成と(2)BKチャネル活性によるCav1.2活性に対する負帰還機構に関与すると考えられ、カベオラ及びその内部に形成されるBKチャネル-Cav1.2複合体は血管平滑筋機能制御において重要な役割を担うと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管平滑筋細胞におけるBK-Cav1.2複合体に対するカベオリン1の寄与に関する研究はおおむね順調に進み、学会発表や学会賞を受賞することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
血管平滑筋細胞におけるBK-Cav1.2複合体に対するカベオリン1の寄与に関する研究を論文としてまとめて、国際誌に投稿する。また、TIRF顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光イメージング法とパッチクランプ法によってSTIM1とカベオリン1の関連についての研究等を進める。
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Research Products
(5 results)