2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・ナノ共振器融合系における電子・光子相互作用の制御に関する研究
Project/Area Number |
10J06643
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
児島 貴徳 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ドット / フォトニック結晶 / ナノ共振器 |
Research Abstract |
量子ドット(QD)とフォトニック結晶(PC)ナノ共振器の結合系は,高効率単一光子光源や量子情報処理素子などの,固体共振器量子電磁力学デバイスのプラットフォームとして注目されている.意図しない位置にQDが存在すると損失や系の誤動作の原因となるため,QDとPC構造の相対位置を調整するためのQD位置検出技術が必要不可欠である.そこで,QDのフォトルミネッセンス(PL)を光学顕微鏡によって直接イメージングしてその位置を検出し,その位置にナノ共振器を作製する手法を開発した.今年度では,この手法を用いて位置合わせされた量子ドットとナノ共振器が強結合状態にあることを確認し,得られた結合定数から位置合わせ精度を見積もり,本手法のもつ高い位置合わせ精度を裏付ける結果を得た. 分子線エピタキシーを用いて成長した,AIGaAs犠牲層と低密度(~106個/cm2)QDを含むGaAsスラブをもつウェハを用いて,QD・ナノ共振器間の位置合わせを行った.ナノ共振器形成後,試料上のナノ共振器について,その共振波長を変化させながらPLスペクトルを測定した.測定は4Kで行い,共振波長を変化させるためには,窒素ガス堆積による実効屈折率変化を利用した. QDとナノ共振器のスペクトルが交差するとき,両者の反交差が確認された.これは両者が強結合状態にあることを意味する.スペクトルの分裂幅67pmから見積もられる結合定数は57.5μeVで,これは理論的に得られる最大値76.4μeVの75.2%に相当する.共振器内での電界強度から位置ずれ量を見積もると,37nmとなる.このことから,本位置合わせ技術によって非常に高い精度でQDとナノ共振器の位置を合わせることができたといえる.
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