2010 Fiscal Year Annual Research Report
EGFレセプターの二量化阻害を基盤とするペプチド性抗がん薬リードの創製
Project/Area Number |
10J06748
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
水口 貴章 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | EGFレセプター / 二量化阻害 / 相互作用解析 / 表面プラズモン共鳴 / 医薬分子設計 / ペプチド / 抗がん薬 |
Research Abstract |
上皮成長因子(EGF)レセプターは、多くのがん細胞で過剰発現しており、その無秩序な活性化が細胞の増殖や増悪に関与していることから、抗がん薬開発の分子標的となっている。しかしながら、すでに開発されたキナーゼ阻害薬や抗体医薬は、副作用や薬剤コストなどの面で満足できるものではない。本研究では、EGFレセプター活性化過程における重要なイベントである『二量化』を阻害するという新たな戦略を持った抗がん薬リードの創製を目指している。申請者は、過去に、EGFレセプターの二量体界面に存在するβヘアピンアームの先端を模倣した環状ペプチドが、レセプターの二量化を抑え、かつ、その活性化(自己リン酸化)を阻害することを見出した。そこでまず、これをもとに、より強力な阻害活性もつ改変ペプチドを設計するために、本年度は、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた簡便かつ効率的なアッセイ法の開発を試みた。ヒト扁平上皮がんA431細胞そのものを利用し、細胞表面に過剰発現しているEGFレセプターへの親和性をSPRシグナルとして検出する条件を検討した。その結果、細胞表面のEGFレセプターとSPRのセンサーチップに固定化したリガンドEGFとの特異的な結合をSPRシグナルとして検出できる条件を見出すことに成功した。今後、コンピューター上でEGFレセプターの結晶構造を精査し、環状ペプチドの改変体を設計し、本年度に確立したSPRアッセイを用いて、レセプター細胞外領域に対し、特異的な作用を示すペプチドを作り出す予定である。
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