2012 Fiscal Year Annual Research Report
EGFレセプターの二量化阻害を基盤とするペプチド性抗がん薬リードの創製
Project/Area Number |
10J06748
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
水口 貴章 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | EGFレセプター / 二量化阻害 / 医薬分子設計 / 構造活性相関 / 抗がん薬 / ペプチド / レトロインベルソ / CDスペクトル |
Research Abstract |
上皮成長因子(EGF)レセプターは、多くのがん細胞で過剰発現しており、その無秩序な活性化が細胞の増殖や増悪に関与していることから、抗がん薬開発の分子標的となっている。本研究では、EGFレセプター活性化過程における重要なイベントである『二量化』を阻害するという新たな戦略を持った抗がん薬リードの創製を目指している。申請者は、これまでの研究から、EGFレセプターの二量化を阻害する環状ペプチドを見出し、その構造活性相関研究から二量化阻害に必要な環サイズとしては10残基のアミノ酸から成る環状デカペプチドが適切であることを突き止めた。また、この環状デカペプチドの側鎖配置をほぼ同様に保つことのできるレトロインベルソ型(RI)ペプチドが、もとの環状デカペプチドと同程度の二量化阻害活性を示したことから、二量化阻害環状ペプチドの側鎖配置がEGFレセプターとの相互作用に大きく寄与していることが強く示唆された。このRIペプチドは、ヒト上皮がん細胞そのものにおいても、EGFレセプターの二量化阻害および自己リン酸化阻害を示し、さらには細胞増殖に対する抑制効果も示した。このRIペプチドの二次構造を推定するために、円偏光二色性(CD)スペクトルを測定したところ、生理条件下(37℃,pH7.4)においてβシート様構造を示すことが明らかとなった。これらの結果から、CDスペクトルを指標とする新たな構造活性相関研究の可能性が示唆された。
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