2011 Fiscal Year Annual Research Report
コケ植物におけるオルガネラ機能と小胞輸送機構の解析
Project/Area Number |
10J06783
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恵良 厚子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RAB5 / ARA6 / バイオイメージング / 膜交通 / オルガネラ / ゼニゴケ / エンドソーム / 葉緑体 |
Research Abstract |
植物のオルガネラ機能制御機構とその進化についての知見を得るため、RAB5グループを中心としたコケ植物における膜交通機構を解析を行っている。 1.バイオイメージングによるゼニゴケ保存型RAB5(MpRAB5)とゼニゴケARA6(MpARA6)の局在解析 ゼニゴケにおいてMpRAB5またはMpARA6と各種オルガネラマーカーとの二重可視化を行った。その結果MpRAB5,MpARA6ともにゴルジ体マーカーやトランスゴルジネットワークマーカーと隣接するオルガネラに局在していることが判った。また、エンドサイトーシスの追跡試薬によりMpRAB5、MpARA6コンパートメントがラベルされたので、両者はエンドソームに局在していることが明らかとなった。また、MpRAB5とMpARA6の二重可視化では、両者はほぼ同じコンパートメントに局在した。 2.MpARA6の関与する膜交通経路の探索 GTP固定型MpARA6のXFP融曾体を過剰発現しMpARA6の関与する膜交通経路の最終到達点を可視化したところ、未知の膜構造に局在した。葉緑体外膜マーカーとの二重可視化によりこの構造体は葉緑体外膜と連続していることが明らかとなった。また葉緑体ストロママーカーとの二重可視化により、この構造体の中にはストロマが存在することが明らかとなり、この構造体の正体はストロミュールであることが示された。 3.各種オルガネラマーカー発現ゼニゴケ株の作成 ゼニゴケは新進のモデル植物であり、細胞生物学的解析はまだあまり発展していないため、各種オルガネラの可視化株を作製している。23年度は液胞膜、細胞膜、ペルオキシソームの可視化株を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケARA6の機能解析により、陸上植物間においてARA6の機能が多様化していることが示唆され、植物の進化とオルガネラ進化の関係に対する知見が得られたと考える。また当初の予定では単膜系オルガネラを中心に扱うつもりであったが、葉緑体の関与が示唆され葉緑体の観察を行うこととなったが、単膜系膜交通経路と複膜系オルガネラ間の関係を示すことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケのジーンターゲティング技術が確立されつつあるため、MpARA6ノックアウトゼニゴケの作製に着手する。また、amiRNAを用いたノックダウン株の作製も試みる。得られた変異体に対して葉緑体を中心とした観察を行う。 GTP固定型MpARA6過剰発現体の免疫電顕観察を行い、MpARA6がストロミュールに局在しているか否かを確かめる。 シロイヌナズナ変異体にMpARA6を導入し、相補するか否かを調べる。 MpARA6のGTPase活性を調べる。
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Research Products
(3 results)