2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋収縮中におけるカルニチントランスポーターの活性調節機構の解明
Project/Area Number |
10J06848
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古市 泰郎 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨格筋 / カルニチン / OCTN2 / 筋収縮 / 薬物動態 / 細胞内局在 / 脂質代謝 / 細胞膜輪送 |
Research Abstract |
カルニチンは骨格筋のエネルギー代謝に必須であり、その細胞内availabilityは脂質代謝の律速の1つである。骨格筋のカルニチンはトランスポーターOCTN2によってのみ供給されているが、骨格筋収縮中におけるカルニチン動態、およびOCTN2の役割については不明である。本研究では、筋収縮時に骨格筋はカルニチンの取り込みを増加させるという仮説を検証し、さらに筋収縮中におけるOCTN2の挙動を捉えることを目的とした。 ラットを用いたアイソトープトレーサー実験によって、下肢骨格筋へのカルニチン取り込み速度(CL_<uptake>)を評価した。電気刺激で筋収縮を行った脚のカルニチンCL_<uptake>は対照脚よりも有意に高値を示した。また、筋収縮に伴うカルニチンCL_<uptake>の増加は血流増加に依存しないことも明らかとなった。続いて、免疫染色法によって筋収縮に伴うOCTN2の細胞内局在性の変化を検証した。OCTN2は細胞膜のみならず細胞内部においても発現が観察されたが、筋収縮を行った脚においては細胞膜上の発現量が高まっていた。以上の結果から、筋収縮時、OCTN2は細胞膜に移動し(トランスロケーション)、細胞内のカルニチン取り込みを亢進させている可能性が示唆された。 これまで骨格筋における細胞内外のカルニチン輸送は多臓器よりも低いと考えられてきたが、本研究によって、筋収縮をトリガーとしてカルニチン動態は短時間で変化することが示唆された。骨格筋におけるOCTN2のカルニチン取り込み能力は細胞内カルニチンavailability、ひいては筋の脂質代謝能力に寄与するかもしれない。 来年度は、OCTN2のトランスロケーションを裏付ける生化学的データの取得、およびこれらの現象を引き起こす分子メカニズムの探索を行う予定である。
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Research Products
(9 results)