2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒時間分解軟X線光電子分光装置の開発とそれを用いた表面ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
10J06870
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 愛実 東京大学, 物性研究所, DC1
|
Keywords | 光電子分光 / 時間分解 / 半導体 / 光誘起起電力効果 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度立ち上げた飛行時間型電子分析器と開発したタイミングコントロールサーキットを組み合わせ、SPring-8のBLO7LSUにおいて、軟X線時間分解光電子分光装置を開発した。時間分解能50ps、エネルギー分解能7'E/ΔE=8000を達成した。時間分解測定の評価は、si(111)7×7表面の表面光起電力効果を測定することで行った。ピコ秒からマイクロ秒という広いスケールで系統的に時間変化を追うことができ、半導体表面の光誘起ダイナミクスの研究手法としての有用性が示された。また、ポンプレーザーの強度も広範囲で振る事ができ、大強度領域において新奇な現象を発見した。 同じ装置において、ピコ秒領域やそれ以下の領域からナノ秒マイクロ秒まで連続的に電子状態のダイナミクスを追う事のできる装置は世界に無く、我々の装置に寄って光誘起による電子励起などから反応や相転移に至るまでの過程を通して研究する事ができるようになる。これによって、ダイナミクスの研究に多大な貢献ができると考えられる。 この業績の重要性が評価され、10月にロシア、サンクトペテルブルクにおいて行われた11th international conference for Atomically Controlled Surfaces,Interfaces,and Nanostructures(ACSIN11th)においてYoung Scientist Prizeを受賞している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画の通り装置が立ち上がり、設計通りの性能が確認できた。ピコ秒の時間分解能が安定して出せるように改良を重ね、反復実験も可能になり、確実なデータが取れるようになった。その結果、新奇な現象が見え、現在その現象について解析中である。学会発表においては業績が評価され、Young Scientist Prizeや学生発表賞などを受賞するなど、高い評価が得られたため、このような評価に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度発見した、新奇な現象について、解析を進める。レーザーポンプ-レーザープローブのフェムト秒時間分解光電子分光装置の開発も行い、半導体でのキャリアダイナミクスを電子励起からマイクロ秒まで系統立てて調べる。蒸着等によって表面構造を変化させ、それによるポテンシャルの変化がキャリアダイナミクスに与える影響について詳細に調べる。昨年度装置に関する論文が発表できたので、今年度はこのキャリアダイナミクスについて論文発表を目指している。
|
Research Products
(7 results)