2010 Fiscal Year Annual Research Report
森林に生息する土壌動物の群集形成プロセスに進化的時間スケールから迫る
Project/Area Number |
10J06882
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
池田 紘士 独立行政法人森林総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミミズ / 多様性 |
Research Abstract |
森林生態系は多様な動植物が生息し、複雑な食物網が形成されている。それゆえに、生物多様性及び食物網の形成・維持プロセスについては未解明な点が多く残されている。この森林生態系のカギとなる土壌動物としてミミズがあげられる。ミミズは、落葉等の大型リターや土壌有機物を分解して物質循環を促進し、環境を改変して他の生物の住み場所を構築し、土壌中の群集構成を決定する。また、ミミズを餌とする生物も多く存在する。このような重要な役割にも関わらず、ミミズ群集の種構成や、その多様性の形成過程についてはほとんどわかっていない。 本研究は、森林に生息するミミズの多様性を把握し、進化的時間スケールでの群集形成過程を明らかにすることを目的とする。中部山岳地域の森林でミミズを定量的に採集し、遺伝子解析を行ってその多様性を把握し、さらに生態進化及び系統地理的なアプローチを行うことで、群集形成過程を調べる。今年度は、下見を行うとともに、埼玉県の秩父演習林2地点及び茨城県1地点で調査を行った。下見の結果、十数地点を選定することができた。調査に関しては、6,8月にミミズの採集を行うとともに、環境条件を測定するためにリター及び土壌を採取した。その結果、ミミズ103個体が採集され、採集した土壌サンプルについては、含水率及びpHを測定した。採集されたミミズの遺伝子解析及び下見で選定した森林での調査を今後行い、森林環境とミミズの多様性の関係、及びミミズの群集形成過程について、明らかにしていく予定である。
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