2011 Fiscal Year Annual Research Report
森林に生息する土壌動物の群集形成プロセスに進化的時間スケールから迫る
Project/Area Number |
10J06882
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
池田 紘士 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミミズ / 多様性 / 外来種 |
Research Abstract |
ミミズは、落葉等の大型のリターや土壌有機物を分解して物質循環を促進し、また土壌環境を改変して土壌中の群集構成に大きく影響を与えることから、生態系改変者として知られる。そのため、このミミズが外来種として侵入した場合には、その生態系に大きな影響を与えてしまう。アメリカでは、日本からハタケミミズ(Amynthas agrestis)が侵入し、幅広い地域に分布を拡大してしまっている。これら外来ミミズは非常に高密度で生息し、落ち葉を食いつくしてしまうため、そこに生息する土壌動物の構成を改変してしまうことが、これまでの研究により明らかにされている。したがって、これらのミミズの生態を把握し、適切な管理を行うことが必要とされるが、残念ながら研究は進んでいない。アメリカでは、森林の下層植生を火入れによって管理する手法が伝統的に行われている。そこで本研究では、この火入れによって外来ミミズを管理できるかどうかを検証することを目的として研究を行った。 人工的に土とリターを敷いた1.3×3.0mの飼育プロットを8つ野外に作成し、各プロットに100個体ずつのハタケミミズを入れた。ミミズ導入後数ヶ月間、1~2日に1回水を与えてプロット内で飼育してミミズを定着させ、産卵させた。その後このうちの4つに火を入れ、火を入れた翌日にミミズの成体及び卵の生存率を比較した。その結果、焼き払うことで多少のミミズが焼死することは観察されたが、成体の個体数には有意な減少は認められなかった。しかし、卵の生存率が火入れによって有意に低下することが明らかにされた。したがって火入れは、卵を焼死させることで、外来ミミズの個体数を減らすのに効果的であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に調査地点の下見及びいくらかの調査、そして室内実験を進めたため、調査の手順は一通り把握している。したがって、今年度本格的に調査と実験を行うことで、本研究を完了することができると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本格的に調査を行う。春及び夏に調査を行い、秋から冬にかけて実験を行い、本研究を完了する予定である。調査の許可が順調にいただけるか、及び梅雨の時期の天候次第で調査地点を減らさなければならない可能性があるが、その点に関しては臨機応変に対応することで研究を完了できると考えられる。
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