2010 Fiscal Year Annual Research Report
思春期・青年期の問題傾向と家族構造および家族内コミュニケーションとの関連性の検討
Project/Area Number |
10J07020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板倉 憲政 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 家族 / 子ども / 間接的コミュニケーション / 攻撃性 |
Research Abstract |
本年度では、思春期・青年期の子どもの各問題傾向を捉えるための指標として「思春期・青年期問題傾向尺度」を新たに作成することを目的とした。具体的には、先行研究で家族との関連性で扱われた子どもの神経症傾向、攻撃行動傾向、抑うつ傾向、摂食障害傾向、引きこもり傾向、対人関係能力等の問題を1つの尺度で把握することが可能な簡略した尺度の作成を試みた。その後、上記の下位項目の中でとりわけ、"子どもの親に向けた攻撃行動"が家族内の関係性や家族内のコミュニケーションと密接に関連していることが明らかにされた。その点から、子どもの問題傾向を"親に向ける攻撃行動"として設定し、家族内の勢力関係(母子間・父子間・父母間)と子どもの親への攻撃行動との関連性、さらには家族内のコミュニケーションと子どもの親への攻撃行動との関連性を調査した。本研究での攻撃行動は、身体的攻撃行動(ex.殴る)、言語的攻撃行動(ex.暴言を吐く)、回避的攻撃行動(ex.無視する)の3つである。調査協力者は、男性125名と女性122名の大学生,大学院生であった。調査結果としては、父親への攻撃行動は、主として母親が認知する父親の勢力と関連していた。一方、母親への攻撃行動は、主として子どもの認知する母親の勢力と関連していた。また、母子間で父親の事柄に関する否定的な間接的コミュニケーションは子どもの父親への攻撃行動を助長する可能性が明らかにされた。同様に、父子間での母親の事柄に関する否定的な間接的コミュニケーションにおいても母親への攻撃行動を促す可能性が示された。以上のように家族内の関係性やコミュニケーションの偏りによって子どもの親への攻撃行動が生成されるメカニズムが示唆された。
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