2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J07110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 拓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | テトロドトキシン / トランスポーター / DNAマイクロアレイ / 筋肉内投与 / トラフグ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
フグ毒テトロドトキシン(TTX)はフグ科魚類の肝臓に高濃度に蓄積していることから,フグ科魚類の肝臓にはTTXを取り込む特異的なトランスポーターの存在が推測される。 そこで平成22年度は,養殖トラフグをモデル魚として用い,トラフグ肝臓フグ毒トランスポーター候補遺伝子のスクリーニングを行った。養殖トラフグ10尾を2試験区に分け,TTX投与区(5尾,体重約1kg)は臀鰭付近の筋肉内にTTX溶液(0.25mgTTX/500μL・kg体重)を,対照区(5尾,体重約lkg)では同部位にTTXを含まないハンクス緩衝液(500μL/kg体重)を単回投与した。両区の試料魚を20°Cの1000L水槽で5日間別々に飼育した後,肝臓を摘出して全RNAを精製し,2本鎖cDNAを合成した。さらに,合成cDNAを鋳型としてcyanine3で蛍光標識したcRNAを合成し,トラフグゲノムデータベースなどを利用して作製したDNAマイクロアレイにハイブリダイズした。各スポットを定量解析し,対照区と比べてTTX投与区で2倍以上のmRNAレベルの変化を示す遺伝子を調べた。肝臓中のTTX量は蛍光HPLCで定量した。TTX投与区のトラフグ肝臓には,TTX投与量の約30%が蓄積していた。対照区と比較してTTX投与区でmRNAレベルが上昇した遺伝子はelastase Aprecursorをコードするものなど63個が得られ,このうち2個は未同定の遺伝子であった。さらに,トランスポーターをコードする遺伝子は2個含まれていた。一方,対照区と比較してmRNAレベルが減少した遺伝子はG elongation factor, mitochondrial 2をコードするものなど428個で,このうち77個は未同定の遺伝子だった。また,トランスポーターをコードする遺伝子は9個含まれていた。現在,これらのトランスポーター候補遺伝子のクローニングを行っている。
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