Research Abstract |
コンピュータビジョンやコンピュータグラフィックスの分野において,しばしば多次元データを取り扱う必要がある.たとえば,医用ボリューム画像やハイパースペクトル画像など.多次元データは膨大な情報を含んでいるため,いかに効率よく多次元データを表現し,コア情報を取り出すかが重要な研究課題である.これまで,主成分分析法(PCA)などの部分空間法は主にデータの高効率表現や次元圧縮に用いられてきたが,PCAを多次元データ解析に適用する場合,多次元データをまず1次元ベクトルに展開する必要がある.そのため,サンプルデータ数に比べデータの次元数が非常に大きいので,Overfitting問題や計算コスト問題などが生じる. 上記の問題点を克服するため,テンソルベース部分空間法及び統計モデリング法を提案する.提案法において,多次元データは1次元ベクトルに展開する必要がなく,一つのテンソルとして取り扱う.主要な成果は以下に示す. 1,テンソル分解に基づく部分空間法を提案し,多視点顔画像の生成に応用した.多視点顔画像を一つの3次テンソル(人物,テクスチャ,視点)として見なすことができる,学習フェースにおいて,テンソル分解によりそれぞれの部分モード空間を生成することができる.これらを用いることにより,ただ一つの視点画像を入力するだけで,他の視点画像を生成することが可能になった. 2,TSL法は多次元データの特徴抽出や解析に有効な方法であるが,単一モードへの投影法であるため,多次元データを効率よくモデリングするには不向きである.本研究では,先行研究で開発した一般化N次元主成分分析法を用いた多次元データの統計モデリング法を提案し,多視点・多方向照明顔画像や肝臓ボリュームデータに適用し,その有効性を示した.さらに,GND-PCAを用いた肝臓の統計appearanceモデルにより,肝臓の正常と異常の診断支援が可能であることを示した. 3,GND-PCAをさらに拡張し,新たな線形テンソル符号化法を提案した,LTC法において,多次元データはいくつかのテンソル基底の線形和として表される.それぞれの基底は特定な意味効果(たとえば、左方向からの照明)をもつ基底となるので,基底の係数はそれらの特定効果の尺度として用いることができる.病気に寄与する成分の特定や診断支援への応用が将来可能となり,きわめて有効な手法である.
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