2010 Fiscal Year Annual Research Report
光感受性筋線維の開発とマイクロマシンデバイスへの応用
Project/Area Number |
10J07170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 豪文 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | optogenetics / 光刺激 / channelrhodpsin-2(ChR2) / 骨格筋細胞 / 筋収縮 / サルコメア構造 / 筋分化 |
Research Abstract |
神経や筋肉を刺激するには従来、電気的な方法が主に用いられてきた。しかし電気刺激法は時間・空間的な分解能が低い点、電場が不均一である点、侵襲的な金属電極を用いる点などが欠点として挙げられる。また筋組織を動力源(アクチュエータ)として利用する場合、その収縮機構をどのように時間・空間的に制御して正確に駆動させるかという課題がある。そこで本研究では遺伝子組み換え技術を用いて生物界に存在する光受容イオンチャネルchannelrhodopsin-2(ChR2)遺伝子を筋芽細胞に導入することで、光で筋発生プロセスに分化の制御および筋肉の収縮活動を直接的に操作できる光感受性筋肉の創製を目的としている。 本年度は遺伝子導入方法ならびに分化誘導方法の最適化、電気生理学的な検証や運動解析による光応答特性の検証を行った。実験方法はレトロウイルスベクターを用いてChR2-venus恒常発現株を作製し、野生型筋芽細胞株との共培養および分化誘導によって細胞融合を引き起こし、多核のmyotubeを形成させた。共焦点顕微鏡観察によってmyotube形質膜上へのChR2-Venusの発現が組織学的に確認された。さらにChR2を発現したmyotubeに青色光(470nm)を照射すると、光照射に同期した光電流が観察され、さらに光に応答した活動電位の発生が認められた。また成熟したmyotubeには筋収縮の最小単位であるサルコメア構造が観察された。光照射に対する筋収縮運動を解析すると、青色光のパルス照射に同期した単収縮または強縮が誘発され、その収縮パターン、収縮量ともに電気刺激による応答との差異は認められなかった。 上記のように、世界に先駆けて創出に成功した光感受性の培養骨格筋細胞は非接触かつ遠隔操作で細胞に刺激信号を与えることができ、非侵襲的に随意性の収縮活動を誘発することができ、動力駆動源としてのバイオアクチュエータへの応用や筋発生における筋分化モデル、筋変性を伴う筋疾患等の細胞治療への応用が期待できる。
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