2011 Fiscal Year Annual Research Report
光感受性筋線維の開発とマイクロマシンデバイスへの応用
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10J07170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 豪文 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | optogenetics / 光刺激 / 筋収縮 / チャネルロドプシン / 骨格筋細胞 / サルコメア構造 / 分化 / 発生 |
Research Abstract |
筋細胞を刺激して活動を誘起することや筋発達を促進するには従来、金属電極を用いた電気的な方法や力を負荷する機械的な方法、分化誘導因子などを用いた化学的な方法などが用いられてきた。これらの刺激法は容易に時間パターンをコントロールすることができるが、特に空間的な分解能が得られないという問題があった。また目的の細胞のみならず、周辺の細胞や組織に対しても影響を与えてしまう欠点がある。 本研究では昨年度と本年度初めまでに生物界に存在する光受容イオンチャネルであるchannelrhodopsin(ChR)遺伝子を筋芽細胞に導入し、光を用いて筋収縮活動を直接的に制御することに成功した。これらの成果をまとめ、生命工学分野の学術誌(Biotechnology and Bioengineering)に投稿し、採択された。また学会と研究会合わせて3件の成果発表を行った。さらに得られた本技術を応用し、筋肉の発生・分化プロセスに着目して研究を発展させた。骨格筋は成長過程において未分化な筋芽細胞が分裂を繰り返して増殖した後、細胞同士が融合して大きな多核細胞を形成する。そこで分化誘導後の筋管細胞に対して、培養下で光のパルス照射刺激を与えて、その効果の検証を行った。分化培養中に断続的な光刺激を与えることで、筋収縮の最小単位であるサルコメア構造の構築の促進が認められた。さらに運動解析を行うと、刺激に対して高い収縮能を獲得していることが認められた。これは筋分化プロセスにおける細胞自律的な分化を光学的に誘導、制御できることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画であった光感受性筋肉の開発に成功し、その成果の学術誌発表まで達成した。さらに開発した技術を応用し、当初の研究計画になかった筋肉の発生・分化プロセスに関する研究に新たに展開・発展することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発に成功した光で操作することができる筋肉をアクチュエータの駆動源として利用することで、本研究課題の最終目標であるマイクロマシンへの応用を検討する。また開発した技術を用いて筋肉の発生・分化プロセスにおける分子生物学的研究についても研究を推進させる。
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