2010 Fiscal Year Annual Research Report
養豚生産農場における繁殖雌豚の長期生存性と生涯繁殖成績及び淘汰のパターン
Project/Area Number |
10J07255
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐々木 羊介 明治大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 疫学 / 養豚 / 繁殖 / ベンチマーキング / 生物統計学 / 畜産 / 飼養管理 / 動物福祉 |
Research Abstract |
繁殖生産性の改善と動物福祉の向上を目的として、養豚生産の現状と問題点を把握し、以下のような研究を繁殖疫学の手法で行ってきた。全国北海道から鹿児島までの124研究協力農場から提供された生産記録を基に構築した養豚データベースから、母豚20,000頭から60,000頭分のデータを利用した。統計解析は一般化線形混合効果モデル、ロジスティック回帰混合効果モデル、生存時間分析、Multilevel混合効果モデルを用いて行った。 繁殖生産性の改善を目的として、「高生産性農場とその他の農場における母豚の廃用までの日数及び繁殖成績の比較」を行った。そこで、母豚における廃用までの日数と廃用リスクに対する農場生産性グループの関連性の調査を行い、再種付け後に廃用された母豚は廃用日数が長く、農場の生産性を低下させる要因のひとつであることがわかった。高生産性農場では、この母豚の廃用日数が他の農場よりも短く、廃用リスクも高かった。また、関連する指標として、農場の非生産日数、母豚の一腹当たり死亡子豚数、離乳後初回交配日数、及び初回交配日数について調査し、高生産性農場の成績指標を目標値として生産者や獣医師に供給することができた。 動物福祉の向上を目的として、「母豚及び繁殖雄豚における生存確率と死亡・安楽死の発生パターン及びそのリスク」を行った。そこで、母豚の死亡・安楽死の発生パターンを明らかにし、高産歴の母豚や未経産豚はリスクが高く、さらに分娩前後はリスクが高いことがわかった。また、日本における安楽死実施農場が少ないこと、そして繁殖雄豚の平均生存日数と死亡の現状とそのリスクを初めて明らかにした。 以上の研究より、現場のデータを収集して研究し、現場で生産者や臨床獣医師が活用できる知見やベンチマーク(目標値)を供給し、大学から国内の養豚生産を支援するという目的が遂行された。特に、高生産性農場の成績指標の測,定値に関する研究では、生産者や臨床獣医師が活用できるベンチマークを示せた。さらに、母豚や子豚の死亡率や四肢障害による廃用率といった測定値も、動物福祉上のベンチマークとなっている。
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Research Products
(6 results)