Research Abstract |
今年度は熱進化する氷微惑星の衝突再集積過程に関する研究を投稿論文としてまとめ,氷ダスト集合体の衝突付着・破壊実験を行った.今年度の補助金は,主に実験・研究会への旅費,実験で用いる特殊スプレーノズルや電源装置の購入,論文の校正・別刷費用に当てられた. 氷微惑星の衝突再集積に関する研究では,昨年度までに行った空隙率40%,50%,60%,70%とした直径60mmの雪球試料の衝突破壊実験の結果を投稿論文としてまとめ,海外雑誌に投稿し受理された(1).本成果により雪の衝突破壊強度は空隙率の増加とともに増加することが明らかになった. 氷ダスト集合体の衝突付着に関する研究では,二段階リリース機構とガス銃用内径30mm銃身を設計・製作し,特殊スプレーノズルの導入により微細な氷粒子を少量作成することに成功した.これを用いて,北海道大学低温科学研究所の低温室(-10℃)において空隙率44%,52%,60%,70%,80%とした直径30mmの雪球試料同士の衝突実験を衝突速度0.4-70m/sで行った.その結果,衝突速度5m/s以下では,雪の反発係数は空隙率とともに減少し,空隙率70%以上でゼロ(付着)となることがわかった.また,衝突時の変形量から動的圧縮強度を求めたところ,静的圧縮強度の2-4倍であることがわかった.本成果は等質量衝突での雪の反発係数の空隙率依存性を初めて明らかにし,原始惑星系円盤での氷ダスト集合体の付着成長や土星リング粒子に制約を与えるものである.一方,衝突速度5m/s以上では,衝突した一方が破壊する条件は標的/弾丸の質量比が0.05の場合の衝突破壊条件(1)とおおよそ一致し,双方が破壊する条件は約一桁大きいことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに実施した氷微惑星の衝突破壊に関する研究の成果をまとめ,海外雑誌に投稿して受理された.さらに,氷ダストの衝突付着に関する研究を実施し,氷ダストを衝突速度0.4-72m/sで等質量させることに成功した.この成果のうち,低速度の結果について現在海外雑誌に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は氷ダストの衝突実験の研究成果をまとめて国際学会で発表するとともに,これまでに行った引張試験と氷ダストの衝突実験を投稿論文としてまとめ,海外雑誌に投稿する.さらに,氷ダストから氷天体への衝突成長に関する研究成果をまとめ,博士論文を執筆する.
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