2010 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷溶液プロセスによる酸化亜鉛膜作製とインクジェット法によるパターン形成
Project/Area Number |
10J07316
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
我田 元 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 水溶液プロセス / 透明導電膜 / スピンスプレー / 導電性 |
Research Abstract |
酸化亜鉛(ZnO)は医療用軟膏や白色顔料、バリスタ(可変抵抗素子)、ゴム製造における加硫促進剤等の様々な用途に使われており、近年ではその薄膜化による応用研究が精力的に行われている。特に、資源的な問題が顕在化しているITO(スズドープ酸化インジウム)の代替材料としての透明導電膜への応用が期待されている。これらのZnO膜は通常、高熱や高真空を利用した高エネルギープロセスで作製されているが、近年これに代わる方法として、低コスト・低環境負荷の水溶液プロセスが研究されている。したがって本研究では(1)水溶液プロセスによるZnO膜・パターン作製、(2)透明酸化物導電材料としての応用を目的とした。 今年度は研究計画に沿って水溶液プロセスによるZnO膜作製とその形成メカニズム解明、及び特性評価を行った。 一般的に、水溶液中では成長異方性によりZnOはロッド形状となり、多孔質の膜となる例がほとんどである。しかし、これでは面内方向への不連続性や光の散乱などで透明導電膜としての応用には難しい。この問題を解決すべく、前駆体溶液にクエン酸ナトリウムを添加することでZnO連続膜を作製することができた。クエン酸イオンはZnOの亜鉛終端(001)に吸着する性質があり、これにより成長異方性を抑制したため、連続膜が得られたと考えられる。このように100℃以下の水溶液プロセスにおいては世界で初めて透明かつ緻密なZnO膜を作製できた。これらのZnO膜は当初10-100Ω・cm程度の高い比抵抗を示したが、室温での紫外線照射処理により1.5×10^<-2>Ω・cmまで減少した。我々の知る限りでも、これまで熱処理を経ない水溶液プロセスにより10^<-2>Ω・cmオーダーの低抵抗を実現した例はない。 上記のように、今年度は目標以上の成果が達成されており、今後は特性の向上を目指し、実験条件の最適化・他元素ドープ等を行う予定である。
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Research Products
(8 results)