2010 Fiscal Year Annual Research Report
最新宇宙観測結果を用いた宇宙論的磁場の起源、ニュートリノの性質に対する正確な理解
Project/Area Number |
10J07477
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白石 希典 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / 非ガウス性 / 初期宇宙 / インフレーション / バイスペクトル / パリティ / 統計的非等方性 / 原始磁場 |
Research Abstract |
平成22年度は、まず、磁場研究への準備として、一般的な初期揺らぎから作られる宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎの3点相関関数(CMBバイスペクトル)の定式化を行った。この表式は、これまでの研究では決して考慮されていない、初期のベクトル、テンソル型摂動によって作られるCMB揺らぎのバイスペクトルの強度成分、偏向成分の情報まで含んでおり、この点において大変オリジナルな成果となっている。完成後直ちに論文にまとめた。 次に、上記の表式を用いて宇宙初期磁場から作られるベクトル型CMBバイスペクトルの計算を行い、スペクトル形状の評価を行った。併せて、PLANCK衛星で得られると期待される非ガウス性の大きさの制限値を用いて磁場の大きさの概算を行った。これらの結果はいち早く論文にし、公表している。磁場起源のバイスペクトルは複雑な角度依存性を含んでおりこれまでの研究ではその処理法が明らかではなかったが、我々は適当な数学公式を駆使することでこれを近似なく解いた。この点においてまた独創的な研究成果となり、一連の定式化の手法は別の論文にて公表した。 その後、初期磁場起源のテンソル型CMBバイスペクトルの強度成分に対しても、同様の手順で解析的な表式を与え、数値計算を経て出て来た結果を評価する事で、磁場の大きさに対する見積もりを得た。それらも新たに論文にまとめた。 この期間に作成した5本の論文はすべて、作成が終了してすぐにarXivにも投稿しており、論文が公表されるまでに結果を世界にいち早く発信している。また、学会でも随時発表しており、これらを通して、我々の研究を認識した国内外の研究者から好評価を受け続けている。
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Research Products
(4 results)