2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中における臓器間連関の変容の解明と新規治療戦略開発のための基盤研究
Project/Area Number |
10J07478
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 慎一 神戸学院大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脳虚血ストレス / 耐糖能異常 / orexin-A / BDNF / sodium glucose transporter |
Research Abstract |
これまでに、脳虚血ストレス負荷が、全身性の血糖値制御機能の破綻を誘導し、それが先行してその後の神経障害を悪化させる可能性を考察してきた。すなわち、脳虚血ストレス負荷後の血糖値の変動が神経障害の発現・進行に影響を及ぼしていると示唆される。本研究では、近年中枢末梢臓器間連関により、視床下部を介して末梢組織での糖代謝を制御することが報告された神経ペプチドorexin-Aならびにbrain-dericed neurotrophic factor(BDNF)の虚血後高血糖ならびに神経障害発現に及ぼす影響、さらに、脳虚血ストレス負荷により上昇した「糖」が神経障害発現に及ぼす影響を検討するために、糖の作用点として、Na^+依存性グルコース輸送体であるsodium-glucose transporter(SGLT)に着目し、脳虚血ストレス負荷後の血糖値変化と神経障害への関与について検討を行った。 本研究により、orexin-AおよびBDNFの視床下部内局所投与によって、肝臓での脳虚血ストレス負荷後のinsulin受容体の減少に伴った糖新生の亢進を抑制することが示唆され、虚血性耐糖能異常発現の抑制と、神経障害発現の抑制に寄与した可能性が考えられる。加えて、SGLTファミリーの阻害剤であるphlorizinを用いた検討により、脳内SGLTの局所阻害では虚血後高血糖に影響を示さずに神経障害発現を抑制したことから、脳虚血ストレス負荷による神経障害発現には、脳内SGLTが関与する可能性が示唆された。 以上、本研究結果は、上位中枢における内因性生理活性ペプチドの活性調節が、脳卒中治療に対して有用であることを示唆していると同時に、脳虚血ストレス負荷後の全身性の耐券能亢進による脳保護という新たな概念を脳卒中治療に導入するものである。
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Research Products
(23 results)