2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン移動による直接的触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
10J07527
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 優太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銅(I) / チオアミド / 炭素-炭素結合形成反応 / 触媒的不斉反応 |
Research Abstract |
我々の研究の目的は、過剰量の活性化剤を要するため多量の廃棄物を伴う従来の化学反応を、独自設計した金属不斉触媒により完全触媒化、不斉化させることである。我々はこれまでに銅(I)錯体、不斉二座リン配位子、及びBronsted塩基からなる触媒系を用いた直接的触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応を数例報告している。本触媒はソフトLewis塩基性を持つ基質と銅(I)の間に生ずるソフト相互作用が反応性の鍵と考えられ、これまでにニトリルを求核剤として用いた種々の触媒反応が開発されてきた。ここで我々は次なる基質としてチオアミドに着目した。チオアミドはその硫黄部位にソフトLewis塩基性を持つため、これを考慮すれば同様の触媒系でチオアミドを求核剤とした直接的触媒的不斉反応が開発可能と考えられる。反応条件検討の結果、Cu(I)と二座配位子Ph-BPE及びLiO(C6H4-o-OMe)からなる触媒系を用いた際に、ジフェニルホスフィノイルイミンとチオアミドからMannich付加体が良好な収率、エナンチオ選択性で得られた。チオアミドのα位に置換基を持つジアステレオ選択的な反応は高anti選択性にて進行した。Mannich生成物のチオアミド部位の官能基変換を検討したところ、アミド、チオエステル、ヒドロキシアミジン、アミンへの変換が良好な収率にて進行し、本反応生成物が種々の有用なキラルビルディングブロックとなりうることが示された。チオアミドのアルドール反応、共役付加反応への応用も検討中である。
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