2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J07560
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
津曲 紀宏 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 確率システム / べき等左半環 / 抽象化 / 二項多重関係 / クリーニ代数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通り. 1.完備べき等左半環の確率的多重関係モデルを2つ提案した.2つのモデルはいずれもMcIverらが与えた確率システムのモデルを一般化したものである.具体的には,(1)左全域的かつ任意の凸で閉じた確率的多重関係全体,(2)0を含む上向きかつ任意の凸で閉じた確率的多重関係全体,がそれぞれ,右0を保つ完備べき等左半環をなすことを示した.完備べき等半環は,右有向上限,右+,右0を保つ完備べき等左半環であるが,(1),(2)はともに右有向上限,右+を保つとは限らない.それを指し示す反例も含め,以上の結果を国内外のワークショップで報告した.これにより確率システムのモデルに対する理解がより深まったといえる.また,McIverらの確率システムのモデルと特殊な上向きに閉じた二項多重関係全体との間の抽象化について,自然な構成法を含む幾つかの手法によりガロア接続を得た.しかし,いずれの場合も抽象化したものは二項関係と同型であり,抽象化前には一般に成り立たない性質が抽象化後には成り立ってしまうため,有用な抽象化とはいえない.今後は二項多重関係に係る条件を再考した上で,確率システムのモデルとの間の適切なガロア接続を探索する. 2.*-連続なべき等左半環とD-連続なべき等左半環の間にある種のイデアル完備化によって随伴関係が得られるための十分条件を明らかにした. ※また,当初の予定通りイギリス・Sheffield大学を3週間訪問し,G.Struth氏から自動定理証明に関する知見の提供を受けた.
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Research Products
(4 results)