2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10J07641
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 保臣 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星 / Ia型超新星 / 光度曲線 / 輻射輸送 / 白色矮星 |
Research Abstract |
本年度は、Ia型超新星の多様性の起源を研究する上で、特に興味深いものが複数観測・報告された。中でもSN2011feは、近年で最も近くに出現したIa型超新星であり、見かけの光度が大きいためにとても明るいことから、複数の研究グループによって爆発直後から密な観測が行われている。そのため、Ia型超新星の研究にとっては重要な研究対象であり、このSN2011feの観測結果から、爆発機構や形成シナリオといったIa型超新星の理論モデルに更に示唆を与えることができると期待される。幾つかの爆発モデルについて、輻射輸送計算をすることで多色の光度曲線を得て、観測結果と比較したところ、1)ピーク時の明るさや時刻を比較的良く再現することができ、SN2011feは典型的なIa型超新星であること、2)光度曲線の立ち上がりの比較から、爆発時の元素分布に若干の混合が生じていた可能性があること、が示唆された。 また、昨年度も取り組んでいた極めて明るいIa型超新星であるSN2009dcについても研究を更に進めた。昨年度の時点では計算上の困難から計算されていなかったモデルがあったが、計算時のパラメータを工夫することで計算できるようになった。昨年度に得た結果は変わらないものの、考慮していたモデルのパラメータ範囲を網羅できたため、より一貫した議論が可能となった。 その他にも、特異なIa型超新星であるSN2011aaは、観測によれば光度曲線の時間進化が遅いが、その原因は分かっていない。幾つかの爆発モデルの光度曲線を計算して比較したところ、SN2009dc程ではないにせよ、爆発した白色矮星の質量が通常よりも重い可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
典型的なものから特異なものまで、幾つかの特徴的なIa型超新星の観測結果に触れる機会に恵まれ、それらの性質を理解するために理論計算との比較ができた。その一方で、白色矮星表面での元素合成計算については、計算コードの改良が大きくは進んでおらず、その点では遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで通り、理論と観測を比較することで、様々なIa型超新星の性質の原因を探っていく。白色矮星表面での元素合成計算については、計算コードの改良を進め、新たな成果を得たい。
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