2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子を用いた有機フラッシュメモリの研究と応用
Project/Area Number |
10J07701
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横田 知之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ / 有機メモリ / インクジェット / 自己組織化単分子 / フラッシュメモリ |
Research Abstract |
平成22年度は、フローティングゲート構造によるCMOSインバータの閾値電圧制御とサブフェムトリッターインクジェット装置を用いた有機トランジスタの電極部分の微細化に関する研究を進めた。 これまでの研究で、フローティングゲート構造を用いることでメモリ効果を示すことが分かっていた。これは、フローティングゲートに電荷を蓄えることで閾値電圧を変化させ、1/0状態を区別する。このフローティングゲート構造を有機CMOSインバータに用いることで、デバイス作製後に自由に閾値電圧を制御することに成功した。閾値電圧の値は、1.5V駆動の際、0~1.5Vの範囲全てを網羅することができた。有機トランジスタは、大気不安定性やデバイスごとのばらつきといった問題点がある。そのため、デバイスを作製した後に閾値電圧を制御することは非常に重要だと考えられる。また、有機CMOSリングオシレータに応用することで、リングオシレータの発振を制御することにも成功した。 従来のインクジェット装置は、吐出される液滴の量が10pL程度であった。そのため、描画することができるライン幅は10μm以上となってしまった。今回用いたサブフェムトリッターインクジェット装置では、液滴の量を最小で0.5fLまで低減することができる。まず、はじめに印刷条件の最適化を行うことで、SAM絶縁膜上に線幅1μmの線を描画する条件を確立した。 この最適条件を用いて、電極幅1μm、電極間隔1μmという微細な有機トランジスタを作製し、電界効果移動度0.2cm2/Vs、オンオフ比107(高いほど性能が良い)という良好な特性を得ることができた。また、5段の有機CMOSリングオシレータへの応用についても行い、4V駆動で97Hzでの発振に成功した。 これらの研究成果は2010年秋の応用物理学会および2010年春・秋の米国材料学会で発表を行い、国内外の多くの研究者の関心を集め、現在Applied Physics Letter、Advanced Materialsにそれぞれ投稿中である。
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Research Products
(8 results)