2010 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞からの大規模発現解析による雌性配偶体の発生・機能を司る遺伝子の同定と解析
Project/Area Number |
10J07811
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
須崎 大地 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物 / 雌性配偶体 / 次世代シーケンサー / 発現解析 / 顕微細胞操作 |
Research Abstract |
有性生殖をおこなう生物にとって、受精は種を維持するための重要な現象であり、その達成のためには配偶体が正しく形成され機能する必要がある。本研究では、被子植物の雌性配偶体に着目し、これを構成する各種細胞を調べることで、それぞれの機能を司る遺伝子の同定と解析を目指した。本年度はまず、これまでに開発した手法によりシロイヌナズナの雌性配偶体を構成する細胞のうち、野生型の助細胞と卵細胞、さらに花粉管誘引に異常を示すmyb98変異体の助細胞を回収した。さらに、これらの細胞わずか30個または100個を用いて次世代シーケンサーによるRNA-seqをおこなった。この結果、いくつかの遺伝子について発現量を調べると、各細胞特異的に発現する既知の遺伝子の発現を反映していたことから、この手法により、さらに各細胞特異的な遺伝子が絞り込めると期待できる。また、トレニアを用いて開発したin vitro培養系とUVレーザーによる細胞操作を駆使することで、助細胞が花粉管誘引能を獲得する際に各種細胞間の相互作用が必要であるかを解析した。結果、未成熟な雌性配偶体の卵細胞や中央細胞を除去した後、形態的に正常に発生した雌性配偶体の花粉管誘引率は顕著に低下した。このことから、助細胞が機能を獲得する過程で、隣接する卵細胞や中央細胞との相互作用が重要であることが示唆された。さらに、この相互作用の重要性と培地上で発達した各細胞が正常であることを分子的に確かめるために、各細胞特異的に発現する遺伝子の同定を目指した。シロイヌナズナの各細胞で高発現または特異的に発現する遺伝子を選抜し、それらのアミノ酸配列と解析中のトレニアゲノムによるBLAST解析により、相同遺伝子の候補を得た。単離した各細胞を用いたRT-PCRにより候補遺伝子の発現を確認して、中央細胞特異的に発現する遺伝子2つと卵細胞特異的に発現する遺伝子1つを単離した。
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Research Products
(4 results)