2010 Fiscal Year Annual Research Report
トーラスプラズマにおけるアルヴェン固有モード空間構造の高速イオン損失に与える影響
Project/Area Number |
10J07912
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 国大 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大型ヘリカル装置 / 高速イオン / MHD不安定性 / アルヴェン固有モード / 核融合プラズマ |
Research Abstract |
本研究においては、大型ヘリカル装置LHDにおいてプラズマ中に入射される高速イオンによって励起されるアルヴェン固有モードAEの空間構造測定を行い、同時にそのモードによって損失される高速イオンの速度情報を計測し、アルヴェン固有モード空間構造の高速イオン損失に与える影響の解明研究を推進した。 AEの空間構造測定においては、Hアルファ揺動観測器を用いる事で、トロイダルアルヴェン固有モードTAEに起因したHアルファ揺動分布を取得した。線形計算コードであるAE3Dを用いて得られたポテンシャル分布から計算したHアルファ揺動と実験結果の両者のよい一致をみた。 AEに起因する損失高速イオンの速度情報計測ついては、様々な磁場配位において、シンチレータ型損失高速イオンプローブを用いることで、アルヴェン固有モードによる損失高速イオンを計測した。磁場配位の違いによってTAEによって損失される高速イオンのエネルギー及びピッチ角(磁場ベクトルと速度ベクトルのなす角)が異なるが、それらが通過軌道を持つ高速イオンである事を明らかにした。損失高速イオン束のアルヴェン固有モード揺動強度依存性は実際のプラズマ中心の外側への移動に従って顕著になる事が明らかとなった。この両者の関係は、高速イオンの速度空間上の輸送の情報を持っており、位相空間上の輸送が対流的から拡散的になった事を示している。さらに、理論で予測される拡散的損失よりも顕著な場合も観測され、この現象を固有関数の経方向拡大と位相空間上の損失領域の拡大によるものではないかと予想した。
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