2011 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱性DNAポリメラーゼによるde novoDNA合成の機構解明とその応用
Project/Area Number |
10J07957
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 智博 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | de novo DNA合成 / DNAポリメラーゼ / 非特異的増幅 / 遺伝子検出 / 蛍光色素 / 電子移動 / 高輝度化 |
Research Abstract |
これまでの研究によって、非特異的増幅の一因であるde novo DNA合成のメカニズムについて、ほぼ完全に解明できた。その結果、この現象はDNA複製酵素であるDNAポリメラーゼに含まれる微量のDNAが関与している可能性が非常に高く、現代の科学水準ではこれを完全に取り除くことは不可能、かつそれを保障することができない。しかしながら、この非特異的増幅は、使用するDNA配列と反応条件に大きく依存するという特徴をもち、DNA増幅の過程において、反応条件や使用する酵素の検討によってある程度非特異的増幅を回避可能であることが明らかとなった。但し、これを完全に防ぐことは非常に困難である。すなわち、増幅に不可欠な酵素自身がその原因を内包しているため、異なる手段によってDNAの検出を精確に行うためのアプローチが必要であると考えられる。そこで今年度より、増幅の次の段階である検出過程において、検出感度を向上し、増幅時の問題を補償するための研究を行うことにした。通常、DNA検出には蛍光色素を用いたプローブと呼ばれるオリゴヌクレオチドが用いられるが、天然核酸塩基と蛍光色素が電子移動によって十分な輝度が得られないことが多い。そこで、この核酸塩基-蛍光色素間の電子移動を抑制し、蛍光色素の輝度を増加させる新規人工塩基対を開発した。この分子はDNA二重鎖内に導入しても安定性を大きく損なうことはなく、検出の妨げにはならないことが確認できた。また、この分子で蛍光色素と核酸塩基間の電子移動を抑制したことで蛍光色素が従来の数十倍以上高輝度化し、検出感度向上に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、de novo DNA合成のメカニズムをほぼ完全に解明することができ、その反応条件等の特性も詳細に調べた。その結果、このde novo DNA合成そのものを完全に防ぐことは不可能であることが明らかとなってしまったが、それを補償する別のアプローチへの模索という方向に研究が発展し、結果的に本来の目的である遺伝子検出感度の向上へと繋がった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在の方針を維持して、蛍光色素を高輝度化する分子の改良を進め、更なる高輝度化・高感度化への方法や理論の研究を行う予定である。
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Research Products
(4 results)