2012 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱性DNAポリメラーゼによるde novo DNA合成の機構解明とその応用
Project/Area Number |
10J07957
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 智博 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | DNA / FRET / 遺伝子検出 / 人工核酸 / 蛍光色素 / 配向依存性 |
Research Abstract |
これまでの研究から、超好熱性DNAポリメラーゼによるde novo DNA合成の機構の解明に成功し、その抑制策を見出すことができた。しかしあくまで抑制にとどまり、遺伝子検出技術の感度低下を招く恐れが完全に排除できなかった。そこで、DNA増幅過程での不都合を検出過程での高感度化によりカバーするべく、蛍光色素を高輝度化させる新規人工分子インスレーター分子を開発し、蛍光色素導入人工核酸の高輝度化に成功した。さらに本年度は、励起光がバックグラウンドになるという問題を解決するため、FRETの利用を試みることにした。FRETを利用すれば、励起光と検出波長の差が大きくなり、バックグラウンドの問題を解決することができる。しかしこれを実現するためには、DNA二重鎖内における色素間の配向制御を明らかにし、配向の影響を考慮した検出用核酸プローブの設計を行う必要がある。そこで、DNA二重鎖内部に蛍光色素をインターカレートさせて厳密に固定し、距離および配向の制御を厳密に行うことのできるFRET実験系を新たに構築し、これまで非常に困難であった蛍光色素間のFRETの配向依存性を明確かつ詳細に調査することを目指した。その結果、蛍光色素間のFRET効率がDNAの構造由来の配向依存性によって大きく変化し、一定の周期間隔で変化することを見出した。得られた結果をもとに、DNAを剛直な円筒に見立てた簡便な理論モデルを考案し、FRET理論との比較を行った結果、DNA二重鎖内部におけるFRETの配向依存性を理論モデルによって精確に予測可能であることが分かった。この発見は物理化学的にも非常に興味深く、今後のFRETを利用したナノスケール分子のモニタリングツール開発等に大きく貢献できるものである。特に核酸プローブの設計に際しては、配向依存性をしっかりと考慮に入れて設計を行う必要があることも再確認できた。
|
Research Products
(9 results)