2010 Fiscal Year Annual Research Report
ねじれアレキサンダー不変量の特殊値と被覆空間のトポロジーについて
Project/Area Number |
10J07961
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 祥司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 位相幾何 / 結び目理論 / 線形表現 / ねじれアレキサンダー不変量 / 被覆空間 |
Research Abstract |
平成22年度は,研究課題にある被覆空間のトポロジーの解明に向けて,ねじれアレキサンダー不変量の特殊値についての考察とメタベリアン表現のねじれアレキサンダー不変量の具体的計算を行った.特に,結び目で分岐する3次元球面の2重被覆空間との関係が注目されるメタベリアン表現のねじれアレキサンダー不変量についての研究において以下のような大きな進展が見られた. 平成22年度の成果は,平成21年度までに得られていた結び目群のメタベリアン表現の特徴付けに関する研究と本研究課題で扱う「ねじれアレキサンダー不変量」との関係を調査することで得られた結果である. 結び目のメタベリアン表現とは,結び目群から線形群SL(2,C)への準同型写像で,交換子部分群をSL(2,C)の可換部分群にうつすもののことである.結び目群とSL(2,C)との間の"準同型写像全体"(ここでは,C^2の基底変換によってうつりあう準同型たちを同一視した集合のことを指すことにする)は,ある軸を中心に対称性をもつことを意味し,メタベリアン表現はその軸と"準同型写像全体"の交点となっていると言える.すなわち,"準同型写像全体"の対称性の中心に位置しているのがメタベリアン表現であり,メタベリアン表現を使って計算される「ねじれアレキサンダー不変量」も,"準同型写像全体"の対称性を引き継ぐことが多いに期待できる. 実際に平成22年度に得られた結果では,メタベリアン表現のねじれアレキサンダー不変量は,"準同型写像全体"の対称性を引き継ぐだけではなく,群作用が固定点の接空間に誘導する線形写像にも影響を受けることを記述できた.
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