2010 Fiscal Year Annual Research Report
高配向性を持つ高分子FETの開発と電子スピン共鳴法を用いたデバイス界面評価
Project/Area Number |
10J07987
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 峻一郎 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 導電性π共役高分子 / 有機電界効果トランジスタ / 電子スピン共鳴法 / 立体規則性ポリヘキシルチオフェン / ラメラ構造 / 界面分子配向 / フラーレン / 有機薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
π共役高分子は、電子・光機能性から注目されている。その中でも立体規則性ポリヘキシルチオフェン(P3HT)は、チオフェン環が基板に垂直に自己組織化したラメラ構造を有することから高い電界効果移動度が実現し、有機電界効果トランジスタ(FET)の基礎材料として研究が行われている。特に、有機デバイスの特性改善のためには、高分子の分子配向性の制御及び、評価手法の開発が急務の課題である。これまでに我々は、デバイス界面のみに蓄積されるキャリアをスピンをプローブとして、観測可能な電場誘起ESR法を開発してきた。この電場誘起ESR信号はπ電子の異方性を反映することから、デバイス界面のミクロな分子配向性を精密に評価することが可能である。今回、液晶混合展開法を用いた高配向性を有するデバイスの作製を名古屋大学の永野らと共同で研究を行った。この手法を用いることで、従来不可能であった高分子鎖の面内配向が制御可能である。その結果、単分子膜においても良好なFET特性が得られると同時に、高分子鎖方向の移動度がπ-stack方向に比べ高いことが明らかとなった。また、電場誘起ESR信号は、斜方対称的な異方性を示すことから、高分子鎖が面内配向制御されていることを直接観測することに成功した。この結果により、電場誘起ESR法を用いた界面分子配向評価法を確立すると同時に、よりミクロなデバイス設計に向けた基礎的な理解につながる期待される。これらの成果は、Applied Physics Letter誌に掲載され、さらに、合成金属国際会議(ICSM2010)においてもポスター賞を受賞した。さらに、電場誘起ESR法を用いて、P3HTとフラーレンの複合体系の分子配向評価も行い、より複雑な系における高分子の界面分子配向評価に成功した。これらの成果は、有機薄膜太陽電池における界面設計に寄与でき、Organic Electronics誌に掲載された。
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