2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線を用いたパルサーの放射機構及び銀河中心ブラックホール近傍の空間構造の研究
Project/Area Number |
10J08103
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木坂 将大 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パルサー / ブラックホール / ガンマ線 / 宇宙線 / 磁気圏 / 粒子加速 / 銀河 |
Research Abstract |
パルサーからの観測データを用いてパルサー周囲の電磁場構造と放射領域への制限を行うこと、また同時に銀河中心ブラックホールの周りのガスの空間構造に対して制限を行うことを目的として、以下のとおり実施した。(1)前年度の研究成果として、パルサー周囲の磁場構造は真空とした近似では妥当でなく、フォースフリー近似のもとでのシミュレーション結果とよく一致することを発見した。この応用として、パルサーから観測されるパルス放射はこの構造に大きく依存することから、パルスが観測可能なパルサーの幾何学パラメーターの範囲への修正を行った。その結果、これまでのおよそ2倍のパルサーが見つかることがわかり、このことはパルサーへの統計的性質の制限に対して重要である。また、光度曲線の振る舞いがこれまでのモデルで説明できないパルサーがみつかった。そこでこのパルサーの電磁場構造に対して地球に降り注ぐ電子・陽電子宇宙線の将来観測から制限できる可能性を指摘した。この他、パルサーより強い磁場を持つと考えられているマグネターの磁場構造に対し、ホール効果を考慮した磁場進化を計算することで調査を行い、双極磁場が小さいマグネターに対してこれまで考えられているトロイダル磁場ではなく、より高次のポロイダル磁場が効いている可能性を指摘した。(2)フレアのタイムスケールやスペクトルから放射領域に対する制限を行った結果、十分に強い制限は得られなかった。一方で、ブレーザーのGeV帯域にこれまで知られていないスペクトルの折れ曲がりが見つかった。また、近年ブラックホール近傍におけるダストの分布に対してより詳細なモデルが提案された。このモデルを利用してスペクトルの折れ曲がりに対する新たな解釈を与えて空間構造を制限できる可能性について、現時点では十分な結論には至っていないものの調査を進めている。
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Research Products
(15 results)