2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内部位特異的な酸化ストレス評価のための蛍光/ESRデュアルプローブの開発
Project/Area Number |
10J08121
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池田 麻美子 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化ストレス / DNA / 蛍光プローブ / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
生細胞において核内の酸化ストレスを部位特異的に可視化することを目指した核分布型蛍光/ESRデュアルプローブF-HoTの合成を達成した。また、F-HoTの2つの蛍光団の距離を変えたプローブ分子X-HoTを新たに設計し、合成した。これら2つのプローブの細胞内局在を共焦点蛍光顕微鏡観察によって調べ、生細胞の核に良好に局在することを確認した。 さらにX-HoTについてin vitroで蛍光特性を調べた。X-HoTの蛍光は還元剤であるアスコルビン酸存在下、アスコルビン酸濃度依存的に回復した。また同条件下でESR測定を行い、蛍光の回復がラジカルの消失と相関していることを確認した。以上の結果からX-HoTが核局在性蛍光/ESRデュアルプローブとして機能しうることが示唆された。 細胞レベルでの酸化ストレスの蛍光検出を目指し、現在、共焦点蛍光顕微鏡観察による蛍光変化検出のための条件検討を進めている。 また、核分布型ESRプローブであるF-DisTに関して、ESRシグナル減衰速度に与える酸化還元状態の条件について詳細な検討を行った。In vitroにおいて種々の濃度のアスコルビン酸存在下、スーパーオキシドや一酸化窒素といった活性酸素種発生剤を用いてESRシグナル減衰速度の変化を調べた。その結果、アスコルビン酸濃度が低い条件下、スーパーオキシドのようにESRプローブと直接反応する活性種が発生した場合に、細胞内でF-DisTを用いた時と同様の変化を示し、核内においてESRプローブを直接反応する活性種が発生している可能性が示唆された。 これらの結果から細胞内の酸化ストレスに関与する因子を推定することに成功した。また、蛍光/ESRデュアルプローブによるイメージングによってより詳細な酸化ストレスの解明が可能となると考えられる。
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Research Products
(5 results)