2010 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性の破れのGauge Mediation模型の研究
Project/Area Number |
10J08182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 亮介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超対称性 |
Research Abstract |
私の研究課題は、超対称性を持つような物理のうち、特にGauge Mediation模型について、その理論的、現象論的側面を探ることです。大型加速器であるLHCが本格稼動した現在、そのような模型が存在するのか明らかにされることが期待されているわけですが、私は共同研究者とともにLHCにおけるグラビティーノが軽い模型の検証可能領域を調べ、論文にまとめあげました。この論文により、グラビティーノが非常に軽い模型については、その模型が存在するかどうかは2011年中にほぼ明らかになることが示されました。また、理論的側面からは次のような成果を挙げました。グラビティーノの質量はR対称性を破るため、グラビティーノが軽い模型ではR対称性がよい対称性であることが自然に思われます。私は共同研究者とともに、R対称性を良く保つ模型に関して調べ、論文にまとめました。この模型ではグラビティーノが数keVの質量を持つような場合がLHCで検証可能な領域となります。近年、数keVの質量を持つグラビティーノはダークマターの候補として注目されており、我々の論文は興味深いシナリオを提示しています。先に、グラビティーノをダークマターの候補とするシナリオについて述べましたが、それとは異なったアプローチとして、近年、アシンメトリックダークマターというシナリオが注目されています。このシナリオでは、現在のダークマターの存在量をバリ才ン数非対称性と関連付けて説明しようとするものです。私と共同研究者は、このシナリオとスニュートリノインフレーションと呼ばれるインフレーション模型を組み合わせて、インフレーション、ダークマター、バリオン数などの宇宙の諸問題を統一的に説明できることを示しました。アシンメトリックダークマターとスニュートリノインフレーションを結びつけるというアイデアは独創的であり、大きなインパクトを与えるものです。
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