2011 Fiscal Year Annual Research Report
超対称性の破れのGauge Mediation模型の研究
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10J08182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 亮介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超対称性 |
Research Abstract |
私の研究課題は、素粒子の物理を記述する模型の中で、特に超対称性を持つようなものの現象論的側面を探ることです。大型加速器であるLHCが本格稼働している現在、そのような超対称性理論から予言される新粒子が発見されることが期待されています。残念ながら2012年4月現在そのような新粒子の兆候はあらわれていませんが、昨年、電弱対称性を自発的に破る機構の一つであるヒッグス機構から予言される、ヒッグス粒子が存在することを示唆するようなデータがATLAS実験、CMS実験で独立に得られました。超対称性を持つ理論にもヒッグス粒子は登場するのですが、超対称性理論ではその質量の大きさが予言量となるのでその値が持つ意味は非常に大きいものとなります。私と共同研究者は、この実験結果を超対称性理論の枠組みの中でどのように位置づけるかを考察し、新しい粒子を理論に取り入れることで、実験と矛盾しない質量を持つヒッグス粒子を実現することに成功しました。また、LHCとは異なる実験でミュー粒子の磁気双極子モーメントが標準模型から予言される値と実験で計測された値の間にずれがあることが報告されているのですが、我々の模型はこのずれを超対称性粒子の寄与によって説明することができます。理論に新しく取り入れられた粒子はLHCで十分探索が可能な粒子であり、このような模型の構築は、理論の発展に対しても、実験の解析に対しても、大きな示唆を与えるものであるということができます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験で示唆されたヒッグス粒子の性質と矛盾しない超対称性模型を作ることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
先に構築したヒッグス粒子の質量を説明する模型について、その発見可能性を検討していく。また、ヒッグス粒子の質量の計算をより精密化していく。
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