2010 Fiscal Year Annual Research Report
TNOs領域の軌道進化における自己重力の影響について
Project/Area Number |
10J08241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚本 裕介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽系外縁天体 / Twotinos / 小天体 |
Research Abstract |
太陽系外縁天体(TNOs)は現在までに1000以上発見されているが、観測が進むにつれて既存の惑星形成論では説明できないその不可思議な軌道分布が明らかになった。Malhotra(1993,1995)は海王星の移動によってこれらの分布を定性的に説明するモデルを提案した。しかし、観測が進展するに従ってMalhotraのモデルでは説明できない多くの問題が指摘されるようになった。それらの問題の中で、申請者は今まで海王星の1:2平均運動共鳴(MMR)に存在する微惑星(Twotinos)の数が理論から予測される値よりも小さいという問題(Hahn & Malhotra 2005,Chiang & Jordan2002)に注目して研究してきた。この問題については今まで海王星の移動速度(Ida et al.2000)やランダムな移動(Zhou et al.2002)など、海王星の移動モデルを変えることで説明するアプローチが主になされてきたが、観測を説明するためには、不自然に早い移動速度や大きなランダム運動が必要になり、上記の問題を解決するモデルとしては不十分であると考えられる。 そこで申請者は上記のようなアプローチではなく、海王星の移動終了後数十億年でTwotinosの軌道が不安定化し1:2MMRから離脱したのではないかと考えTwotinosの軌道安定性に重力が与える影響をN体シミュレーションで調べた。 申請者は海王星の移動終了直接にTwotinosの全質量がそれぞれ、0.1M(+)(現在の古典TNOsの総質量程度),3^M(+)(最小質量モデルをTNOs領域まで外挿した場合の質量)であったとき、十億年程度でそれぞれその50%、95%以上の微惑星が不安定化し、太陽系年齢で1:2MMRから脱出することを発見した。前者はTwotinosとPlutinosの存在比重要な知見をもたらし、後者は現在の共鳴TNOs領域の軌道分布が現在のものと大きく変わらないと仮定して構築されてきた多くのTNOsの形成モデルに大きな示唆をもたらすものとして重要である。
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Research Products
(7 results)