2010 Fiscal Year Annual Research Report
匂い・気流・温熱感をVR上で再現するマルチモーダル感覚情報の記録再生システム
Project/Area Number |
10J08255
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松倉 悠 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 五感情報通信 / 嗅覚ディスプレイ / 風覚ディスプレイ |
Research Abstract |
本研究は、現実空間における匂いや気流、温熱感を記録再生するシステムの開発を目的とする。記録用装置は、レーザスキャナとサーモグラフィで構築する。これらの測定器で取得した三次元形状データと温度境界条件を初期条件として数値流体シミュレーションを行い、室内空間における匂い濃度分布や気流場、温度分布を推定し、記録する。本年度は、サーモグラフィとレーザスキャナを移動ロボットに搭載し、室内を一周して部屋形状と壁面温度分布データを測定した。さらに、同じ部屋で風速分布の測定を行い、収集した壁面温度データから予想される通りの気流場が形成されていることを確認した。次年度は、本年度に取得したデータを基にして数値流体シミュレーション用モデルを自動作成する機能の実装に着手し、実際にシミュレーションを行う予定である。また、数値流体解析や実験の結果、ロボットや人体の発熱が気流場や匂い濃度分布に無視できない影響を与えることがわかったので、この対策も検討する。 また、記録した匂いや気流を再生するための装置を開発した。二つのファンを向かい合わせに配置して気流を衝突させると、元の気流と垂直な面に沿って放射状に気流が広がる。これをユーザの前方に設置し、気流の衝突点がある方向にユーザが顔を向けると、前方から顔に向かってくる気流を感じる。さらに、この気流に匂い蒸気を乗せて運ぶと、気流の衝突点を匂い源とするような匂い分布が形成される。ただし、ユーザに提示される気流や匂いは、放射状に広がったうちの一部である。そこで、ファンに縦長のノズルを取り付けて吹き出す気流の断面を変え、さらにファンの向きを変えることで、主にユーザに向けて気流や匂いが分布するように改良した。本装置により、本来は何もない場所から気流や匂いが発生している様子を再現でき、記録した感覚情報を効果的に提示することが可能となる。次年度は温熱感の提示を試みる。
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Research Products
(4 results)