2011 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体による連鎖および逐次同時ラジカル重合系の開発
Project/Area Number |
10J08341
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 将人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ラジカル重合 / 重付加反応 / リビング重合 / 遷移金属錯体 / 共重合 / ラジカル付加 / ビニルポリマー / ポリエステル |
Research Abstract |
遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合の第一段階である有機ハロゲン化物のオレフィンへの付加(Kharasch反応)は、高い選択性を有する炭素-炭素結合形成反応である。これまでにこの反応を連鎖機構ではなく逐次機構に展開することで新規なラジカル重付加反応を見いだしている。本研究では、この逐次重合を連鎖的に進行するリビングラジカル重合と組み合わせることで、連鎖重合と逐次重合が同時に進行する全く報告例のない重合方法を開発し、確立することを目的としている。そこで本年度は、まず同一分子内に非等量の二重結合と炭素-ハロゲン結合を有する化合物をAB_x型逐次重付加モノマーとして用いることで、ビニルモノマーとの共重合を行い、分岐間の長さがそろったハイパーブランチポリマーの合成について検討した。この重合の反応初期においては、逐次重付加モノマーの炭素-ハロゲン結合がリビングラジカル重合の開始剤として作用し、ビニルモノマーの連鎖リビング重合が選択的に進行した。重合後期ではポリマー間での重付加反応が進行することで、最終的にビニルモノマーのリビングポリマーをAB_x型モノマーでつないだハイパーブランチポリマーを生成することがわかった。さらに、本反応を用いることで自己分解が可能な新たな抗菌性ポリマーの合成についても検討を行った。側鎖に一級のアンモニウム塩を有するアクリル酸エスエルのポリマーは、比較的高い抗菌性を示すことがわかった。またポリマーは水溶液中で自己分解が進行し、低分子量のオリゴマーまで分解することがわかった。
|
Research Products
(4 results)