2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアβ型外膜タンパク質の輸送と外膜組み込み機構解明に向けての研究
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10J08344
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
今井 賢一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ミトコンドリア / β型外膜タンパク質 / マイトソーム / 赤痢アメーバ / TOM複合体 / タンパク質輸送 / タンパク質細胞内局在 |
Research Abstract |
ミトコンドリアβバレル型外膜タンパク質(MBOMP)は、タンパク質や低分子のミトコンドリアへの輸送において中心的な役割を果たしているだけでなく、疾患との関連性も指摘されている。MBOMPを理解するため、そのミトコンドリアへの輸送および外膜への組み込み機構の解明は重要課題であるが、不明な点が多い。そこで、本研究は、MBOMPのこれらの機構解明の促進のため1.新規MBOMP探索とその外膜組み込みシグナル(βシグナル)の解析、2.ミトコンドリア輸送シグナル探索、3.タンパク質輸送複合体TOM complexの構造モデリングの3つの研究を行ってきた。本年度は、特に進展のあった、1、3について以下に簡潔にまとめる。 1.我々の開発したMBOMP予測手法により発見した赤痢アメーバの新規βバレル型外膜タンパク質候補EMOMP30について、国立感染症研究所との共同研究を行い、その配列解析及び細胞内局在部位解析を行った。その結果、EMOMP30は、βシグナル配列を持つEntamoeba属に特異的なタンパク質であり、ミトコンドリア由来オルガネラ(マイトソーム)への外膜局在が示唆された。さらに、EMOMP30の発現抑制株は、細胞数が増えないため、重要な創薬標的として期待できる。 3.共同研究先の名古屋大学から得たTOM complexの最新の架橋実験データを基に、複合体モデルの修正を行い、疎水性や電荷のパッチを調べ、複合体形成や機能について考察を行った。また、共通祖先を持つが機能の異なるVDACとのアミノ酸配列の保存部位比較から、Tom40の複合体形成における相互作用部位予測を行い、さらなる架橋実験や機能解析のための変異実験のサポートを行った。 また、本研究で培った配列解析技術を応用した共同研究でも成果が得られた。核輸送担体Transportinの新規基質の核移行シグナル候補の同定において貢献し、Mol. Cell. Proteomics誌にて発表した。Cell Metabolism誌に受理されたミトコンドリアに局在する新規CDP-diacylglycerol synthase Tam41発見の研究では、機能ドメインの生物種間の分布と系統解析を行い、Tam41が共生後に獲得された可能性を指摘した。
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Research Products
(8 results)