2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー超周辺衝突におけるクォーコニウム生成過程の研究
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10J08478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 泰斗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Relativistic Heavy Ion collisions / quark gluon plasma / ideal hydrodynamics / azimuthal flow / multi-particle correlation / Chiral Magnetic Effect / delayed hadronization / charge separation |
Research Abstract |
物理が比較的近い2つの物理解析を並行して行っている。ひとつは荷電Kaon、KOs粒子、lambda粒子のelllptic flowの測定を行った。これらの粒子の同定方法をALICE検出器群を用いて行い、そのあと、2粒子相関法、4粒子相関法そしてevent plane法を用いてelliptic flowの測定を行った。結果としては、RHICとほぼ同様の信号が観測され、RHIC energyで発見されたものと比較的類似した、粘性の小さいQGP流体ができていることがわかった。 LHCエネルギーでの重イオン衝突実験では生成される粒子数が非常に多いので多粒子相関が取りやすく、charge dependent2-paritlce azimuthal correlation w.r.t the reaction planeとい系統的な測定を提案した。原理的には3粒子相関または4粒子相関である。この測定の動機は2つある。ひとつはChiral Magnetic effectというQCDのパリティを破るような効果の探索である。もうひとつの動機は、QGPのハドロン化が衝突後しばらくしてから起こっていることの検証、そしてそのハドロン化が強いクォーク反クォーク相関をもって起こっていることの検証である。実際QGPが存在したとすると、ハドロン生成は衝突後直後以外にも、その10fm/c後にQGPがハドロン相に相転移するときにも起こると考えられる。ハドロン相への相転移のmicroscopicなmechanismに関する知識というものは非常に少ないが、クォーク反クォークペアが真空から叩き出されるような(シュインガーメカニズムに近いような)ハドロン生成を考えるのが普通である。このような正負のchargeがペアないし強い相関をもってで作られるようなハドロンが、方位角異方性をすでに獲得したQGP matterから放出される場合、特徴的な信号がこのような測定に現れる。chargeを放出したmatterの方位角方向の形と関連づけることにより、いつハドロン化が起きたのかを測定することにつながると考えている。このような効果はChrial Magnetic effect探索という点からはバックグラウンドである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究予定とは変わってしまったものの、相対論的重イオシ衝突実験における最も重要な側面のひとつであるクォークグルオンプラズマの流体的性質の研究を行い、順調に進展しているといえる。また、この流体的性質を研究するための新しい測定量を、モデル計算をしたうえで提案している最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
採用最終年度となるので、これまでの結果を論文にまとめ、また主要な国際学会で発表していく予定である。理論の論文を書いたうえで、参加しているALICEコラボレーション内で私の解析結果をもとに論文出版の準備を進める。
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Research Products
(2 results)