2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08500
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有村 純暢 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Dok-7 / 神経筋接合部 / 筋無力症 / アデノ随伴ウイルスベクター |
Research Abstract |
筋無力症は運動神経を介した骨格筋収縮制御の不全を伴う疾患であり、自己免疫や遺伝子異常による神経筋接合部(NMJ)の形成・機能不全によって発症する。現在、NMJの形成・機能不全によって発症する筋無力症において、NMJの形成シグナルを増強する治療法は確立されていない。この様な状況の下、受入者はDok-7と名付けたアダプター様分子がNMJ形成シグナルに必須の起点として機能していることを発見し、Dok-7の強制発現がNMJの形成を促進することと、ヒトDOK7遺伝子の異常が先天性筋無力症の原因となることを解明した。そこで本研究においては、NMJ形成シグナルの増強による筋無力症の治療技術の開発を目的として、筋無力症のモデルマウスを用いてその効果と安全性を検証し、筋無力症に対する新たな治療法の開発を目指す。 当該年度において代表者は、NMJ形成シグナルを標的とする治療技術の開発を目的として、骨格筋に対する遺伝子治療に有望とされているアデノ随伴ウイルス(AAV)9型ベクターの作製を武田伸一博士(国立精神・神経医療研究センター)との共同研究により推進し、マウス骨格筋にDok-7の発現を誘導するAAV9型ベクターの作製に成功した。また、当該ウイルスベクターが重篤な副作用を引き起こす可能性が極めて低いことを実証した。さらに、DOK7型筋無力症患者に高頻度に認められる変異をもつ筋無力症モデルマウス(ノックインマウス)の作出も計画通りに進めている。当該年度に実施した研究によって得られたこれらの研究材料は、Dok-7の強制発現による治療技術の開発と効果を検証するために必要不可欠なものである。次年度以降、作製したAAV9型ベクターの投与による正常マウスのNMJ形成シグナルの増強を検証し、筋無力症モデルマウスに対する有用性を検討する。
|