2010 Fiscal Year Annual Research Report
GeVガンマ線・X線観測による銀河系内の宇宙線加速と伝播の研究
Project/Area Number |
10J08529
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
奥村 曉 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンマ線 / 星間物質 / 分子雲 / 宇宙線 |
Research Abstract |
1.フェルミ衛星のガンマ線観測データの解析 星間物質と銀河系内宇宙線の衝突が起こす、オリオン分子雲からのガンマ線放射のデータ解析を行った。一酸化炭素(CO)輝線強度から水素分子柱密度への変換係数は分子雲内部でも一定でないことを明らかにした。その原因が、分子雲の低密度領域では十分にCO分子が形成されていないことであることを示唆し、COに加えて星間塵の観測を解析に加えることで、ガンマ線強度の空間分布をより再現できることを明らかにした。従来CO観測で知られていたオリオン分子雲の像とは異なり、オリオンAの南側半分には北側やオリオンB分子雲と同程度の物質が存在することが明らかになった。 2.次世代ガンマ線望遠鏡の開発 Cherenkov Telescope Array (CTA)計画での採用を目指している、焦点面検出器用のトリガー回路の評価と、マルチアノード光電子増倍管と組み合わせた性能評価を行った。回路の基本的な特性の測定、トリガー動作確認、FPGAのデバッグ、光電子増倍管の利得の測定などを行い、期待する動作を確認した。いくつかの問題が見つかったものの、2011年中に次の回路が完成する予定であり、使用上の問題はないと考えられる。これに加え、ソフトウェアによる光学系シミュレーションの整備を進めた。年度内には動作確認やデバッグを終えた。2011年度から望遠鏡光学系やライトガイドの設計に使用する予定である。
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