2010 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂組換えにおけるクロマチン構造の機能と制御方法
Project/Area Number |
10J08626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 真太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生物学 / 分子生物学 / 遺伝学 / 減数分裂 / 減数分裂期組換え / クロマチン / ヒストン修飾 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
真核生物において、配偶子の正常な形成や遺伝的多様化に重要な機構の一つが、減数分裂期にみられる相同染色体間の組換えである。この組換えは、染色体上の特定領域「組換えホットスポット」で頻発することが知られている。生体内のDNAはヒストンに巻き付いて、それが更に凝集した「クロマチン構造」を形成しており、この局所構造が転写や組換えなどのDNA関連反応に影響する。そのため、ホットスポットが組換えに有利な構造を取っていると考えられている。このクロマチン構造の制御に重要な一要因が、ヒストンの翻訳後修飾である。しかし、ヒストン修飾の組換えにおける機能は不明な点が多い。そこで本研究では、減数分裂組換えのクロマチン構造による制御の解析を、組換え活性化におけるヒストン修飾に注目して行う。 所属研究室の先行研究と平成21年度までの研究から、実験系として有用な分裂酵母のホットスポット「ade6-M26」において、ヒストンの特定残基のアセチル化がade6-M26の組換えに重要なことが明らかになった。そこで22年度は、このアセチル化の意義をさらに解析した。その結果、ade6-M26周辺は、特定残基の高アセチル化と、H3K4の低トリメチル化という特徴的なヒストン修飾が、減数分裂に入る前の体細胞分裂期から形成されていることが明らかとなった。また、ade6-M25周辺の組換え頻度が低下する変異体において、アセチル化の低下とH3K4のトリメチル化の上昇が同時にみられたことから、両修飾の状態が組換えと関連することが明らかになった。従って、ade6-M26周辺の組換え活性化過程において特徴的なヒストン修飾が重要な役割を果たす可能性がある。
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Research Products
(2 results)