2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J08683
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 大輝 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光スイッチ / 相変化材料 / シリコン細線導波路 / シリコンフォトニクス |
Research Abstract |
本研究では、相変化材料とシリコン導波路を用いた光マトリクススイッチの実現を目的としている。相変化光スイッチは超小型、高速応答性、自己保持機能といった特徴を兼ね備えた新規の光スイッチである。平面光回路型のマトリクススイッチは、複数の単位スイッチを組み合わせることで実現されるため、高性能なマトリクススイッチを得るためには、1×1、1×2、2×2といった単位スイッチの高性能化が必要不可欠である。 昨年度は単位スイッチとして1×1スイッチ(ゲートスイッチ)を設計および試作し、1,000回のスイッチング動作に成功した(平均消光比9.7dB)。今年度は主にゲートスイッチの性能改善を目標とし、リブ型、MMI型の設計、試作を行った。 1.リブ型ゲートスイッチ シリコン導波路断面を以前のチャネル形状からリブ形状にし、相変化材料をより放熱しやすくした。また電界のエヴァネッセント成分を増やすことで消光比は15dBまで改善された。1,000回のスイッチング動作に対し、安定な消光比を得た。 2.MMI型ゲートスイッチ シリコン導波路をMMI(マルチモード干渉)型にし、相変化材料のパターニング(リフトオフ)を可能にした。パターニングにより相変化材料を全体的に相変化させることが可能になり、挿入損失が低減される効果がある。2,000回のスイッチングに対し、平均消光比12.6dBであった。また動特性を観測し、スイッチング速度130ns(立ち上がり時間)、400ns(立下り時間)をそれぞれ得た。また自己保持機能を実証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はゲートスイッチの性能改善を目標に試作を行った。実際に、前年度に得られた結果よりも大きな消光比を得ることができた。またこれまではスパッタリングによりチップ全面に相変化材料を積層していたが、今年度はリフトオフにより相変化材料のパターニングを試みた。試作チップでは狙い通りのパターンが得られており、この技術を用いることで今後はより柔軟に光スイッチを設計することができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲートスイッチによるスイッチング動作は実証できたため、今後は1×2、もしくは2×2スイッチの設計、試作を行う予定である。2×2スイッチが動作すれば、これを多段化することで4×4、8×8といった大規模なマトリクススイッチが実現できる。ゲートスイッチと2×2スイッチは動作原理が異なるため、新たな設計手法を要する。現在、方向性結合器型や、マッハ・ツェンダ干渉器型などの構造を検討している。また用いる相変化材料の吸収係数が挿入損失に大きな影響を与えるため、アモルファスおよび結晶でより吸収係数の小さな相変化材料を探索する必要がある。
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