2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規金属置換ポリオキソメタレートによる環境調和型触媒反応系の開発
Project/Area Number |
10J08715
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 智久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒反応 / ポリオキソメタレート / 金属二核活性点 |
Research Abstract |
本研究では「新規金属置換ポリオキソメタレートによる環境調和型触媒反応系の開発」をテーマとして研究を行った。 アセタト配位子を有するパラジウム二置換ポリオキソメタレート、TBA_4[γ-H_2SiW_<10>O_<36>Pd_2(OAc)_2]^<4->(I,TBA=[(η-C_4H_9)_4N]^+)と種々のジカルボン酸(マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸)をアセトンと水の混合溶媒中で反応させることで、TBA_8[{γ-H_2SiW_<10>O_<36>Pd_2}_2{(0_2C)(CH_2)_n(CO_2)}_2](n=1(II),3(III),5(IV))で表される有機-ポリオキソメタレート複合体の合成に成功した。これらの複合体は2つのパラジウム二置換ポリオキソメタレートがジカルボキシラト配位子によって連結されたダンベル型構造を有していた。これらは金属置換ポリオキソメタレートの有するアセタト配位子を他の有機配位子に交換することにより有機-ポリオキソメタレート複合体を合成した初めての報告例である。IVは結晶格子内に有機-ポリオキソメタレート複合体1分子当たり10分子の1,2-ジクロロエタンを含有していた。これらの溶媒分子は乾燥操作により脱離した。乾燥したIVを1,2-ジクロロエタン蒸気に暴露することにより、IVの固体構造が溶媒分子を含有した結晶構造に戻ることをin situ粉末X線回折測定と1,2-ジクロロエタン吸着測定により明らかとした。IVの柔軟な固体構造に由来して、IVが可逆的な有機分子吸脱着能を示すことを明らかとした。 有機-ポリオキソメタレート複合体II、III、IVを触媒としてベンゾニトリルの水和反応を行ったところ、それぞれ91、81、93%の高い収率でベンズアミドが得られることを明らかとした。このとき安息香酸の生成は確認されず、高選択的にベンズアミドを得る事が可能であった。反応機構に関する検討から、有機-ポリオキソメタレート複合体II、III、IVが有するPd二核部位においてニトリルと水が活性化されることで、高い触媒活性が発現したと推定した。
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Research Products
(3 results)